おうし座暗黒星雲群(Taurus
Dark Clouds)
おうし座領域の暗黒星雲
図に示した領域には、「おうし座」、「ペ ルセウス座」、および「ぎょしゃ座」の 暗黒星雲群がある。星数密度分布図では1つながりに見えるこの暗黒星雲群も、暗黒 星雲中のガスの速度情報が得られる分子分光観測(一酸化炭素分子)から2つのグル ープに大別される。1つは「おうし座・ぎょしゃ座暗黒星雲」であり、もう一つは「ペ ル セウス座暗黒星雲」である。
「おうし座・ぎょしゃ座暗黒星雲」は、地球から約140pc(約460光年)の距離にあり、太陽系に最 も近い暗黒星雲の1つである。暗黒星雲全体の質量は太陽の35000倍。この暗黒星雲 のまわりには、太陽程度の質量をもち、主系列に達していない活動的な若い星 (T-タウリ 型星)が、可視光や赤外線の観測を通して数多く発見され、今も活発な星形成が行われている。その ため、「おうし座・ぎょしゃ座暗黒星雲」は、太陽程度の比較的小さな質量をもつ星 (低質量星)の形成過程を解明する上で、重要な研究対象となっている。
「ペルセウス座暗黒星雲」は、「おうし座・ぎょしゃ座暗黒星雲」よりも遠方にあ り(距離は350pc=1100光年)、太陽の約40000倍の質量をもつ。「おうし座・ぎょしゃ座暗黒星雲」が低質量星のみを形成しているのに対して、「ペルセウス座暗黒星雲」では太 陽の4倍以上質量を持つ比較的大きな星(中大質量星)も形成されている。ほぼ同じ距離 にある若い大質星の集団「ペルセウス座OB2アソシエーション(PerOB2)」が近くに ある。
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