南の石炭袋暗黒星雲群(Coalsack Dark Clouds)
南の石炭袋は、日本から見ることはできないが、南十字星に隣接して天の川にぽっかりと大きな穴をあけている南天の暗黒星雲である。図で示されているように、南の石炭袋は、南十字星の中で最も明るい星「アクルックス(αCru)」をその中に含んでいる。南の石炭袋は巨大なダスト(宇宙塵)の塊であると考えられており、その距離は太陽系からおよそ480光年離れたところにあり太陽系にもっと近い暗黒星雲の一つであるとされ、その質量は太陽の約14000倍と推定されている。
南の石炭袋の特徴としては、星形成に十分な密度、質量をもっているにもかかわらず、「おうし座T型星」や「ハービック・ハロー天体」など星が形成時に見られる若い天体が発見されていないところにある。加えて、南の石炭袋からは、一度も星の誕生が確認されてはいない。その原因は、暗黒星雲のガスの様子がわかる一酸化炭素の分子分光観測によって明らかにされた。南の石炭袋のガスの密度は星形成を引き起こすほどには高くない。このために、暗黒星雲内部においてガスの重力による収縮が十分には進おらず、星の形成も行われていないのである。そのため,南の石炭袋の暗黒星雲は、形成されて間もない若い暗黒星雲であると考えられている。
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