私の天文学研究は東北大学大学院入学時から始まりました。学部生の時には関西学院大学理学部(現・理工学部)物理学科の瀬川新一教授の研究室で生物物理学を学び、人工改変蛋白質(6-129ジカルボキシメチルリゾチーム)の構造安定性というテーマで卒業研究を行いました(当時、関西学院大学には天文学を専門とされる研究者がいらっしゃいませんでした)。
東北大学天文学教室在籍中は、Active Galaxies Group(通称AGNグループ)に参加し、谷口義明助教授(現・愛媛大学大学院理工学研究科教授)に師事しました。なお東北大学大学院天文学教室は研究室制ではありませんでしたので、AGNグループとは谷口助教授を筆頭とした活動銀河(クェーサー、セイファート銀河、ライナー、スターバースト銀河、超高光度赤外線銀河など)を研究ターゲットとするスタッフおよび大学院生からなる非公式な研究者グループでした。このグループの歴代メンバーには石附澄夫助手(現・国立天文台野辺山宇宙電波観測所主任研究員)、山田亨助手(現・国立天文台光赤外研究部助教授)、村山卓氏(現・東北大学助手)、須藤広志氏(現・岐阜大学工学部助手)などがいらっしゃいます。私はこの時にコンパクト銀河群という大変面白い天体に関する研究テーマをいただき、今でもコンパクト銀河群の研究を中心に系外銀河の観測的研究を行っています。博士号取得後は同教室にて2年間、大学院研究生(つまりOD[オーバードクター])として在籍、研究を続けました。
その後、東京大学木曽観測所に研究機関研究員(ポスドク研究員)として着任し、この時に孤立銀河周辺部の矮小銀河にも研究テーマを広げました。また同時に観測所職員という立場で様々な研究者の観測サポートを通して、僅かながらガンマ線バースト天体(PI:浦田祐次氏[東京工業大学/理化学研究所])、Tタウリ型星(PI:小倉勝男氏[国学院大学])、彗星(PI:石黒正晃氏[JAXA]、長谷川直氏[JAXA])、流星群(PI:大西浩次氏[長野高専])に関する研究に触れることが出来ました(私自身はこれらの専門家ではありません、仕事を通して学ぶことが出来たという程度です)。
東京学芸大学の助手として着任してからは、継続してコンパクト銀河群と孤立銀河周辺部の矮小銀河の観測研究を行って来ました。そして東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡用大フォーマットCCDカメラに狭帯域フィルターが装備されたことをきっかけに、以前より興味を持っていた近傍渦巻銀河の星生成領域の観測研究を始めることが出来ました。今後は「コンパクト銀河群」「孤立銀河環境下の矮小銀河」「近傍渦巻銀河の星生成領域」を研究の三本柱として観測的研究を行うつもりです。成果らしい成果は現在の所、コンパクト銀河群の研究に関するものだけですが、最近ようやく矮小銀河に関するデータもまとまりつつある状態です。近傍渦巻銀河の星生成領域については、狭帯域フィルターのテストがほぼ完了して、2006年春より本格的観測を開始しています。
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