0. ここ2年ばかり KNOPPIX(クノーピクス) を使った天文学研究の可能性をいろいろと試行錯誤
してきた。個人的には「手軽にシステムを持ち運びできて、結構、いろいろと出来るようだ」と
言うのが感想である。問題点の一つ目は容量が少ないことだが、そもそも KNOPPIX の長所がコン
パクトでお手軽な点であり、これを KNOPPIX の短所とするのは、前提が間違っていると言えよう。
むしろ、本質的な問題点は、研究遂行のためにインストールすべきソフトウェアが沢山あり、これ
に非常に時間がかかる、という点ではなかろうか?
この業界に入ってから、一貫して Vine Linux に PC-IRAF をインストールして、データ・リダ
クションを行ってきたが、いよいよ Vine Linux 6 に至って、PC-IRAF を動かす作業が面倒になって
きたようだ(あくまで噂だが。。。)。そこで、思い切って、Vine Linux から Ubuntu に乗り換えて
みることにした。Ubuntu を選んだ理由は、1) ここ数年でユーザーが爆発的に増えた(ようだ。日経
Linux でもしばしば取り上げられている)、2) PC-IRAF と多くの天文学研究用ソフトウェアをいっき
に Ubuntu にインストールするための DVD (のisoファイル)がインターネット上に公開されている、
3) 筆者が研究で頻繁に使用するソフトウェアのほとんどが、Ubuntu 上で動くらしい、4) USB メモリ
からの起動が可能らしい、の4点である。特にソフトウェア導入が楽な点と、現有環境を維持したまま、
USB メモリでお試しができるという意味で、 2) と 4) は大きい。
Ubuntu は KNOPPIX 同様、Debian から派生した Linux ディストリビューションである。2013年06月
18日現在の最新版は Ubuntu 13.04 であるが、今回は、手元にあった日経 Linux 2013年2月号に、ブー
タブル DVD が付いてきたこともあって、Ubuntu 12.10 を用いた。
Ubuntu の Japanese Team の HP はこちら。ここ
から、最新版の日本語 Remix のイメージ(iso)ファイルを DL できる。なお、Ubuntu 12.04.2 以降は、
容量が大きくなったため、イメージファイルは CD ではなく、DVD に焼き込む必要があるとのこと。
本稿は、Ubuntu 12.10 を USB メモリから起動できるようにインストールし、加えて、天文学の研究
に必要な各種ソフトウェアのインストール方法と、それらに必要な各種設定の備忘録である。
このシステムを動作させたPC環境は以下の通りである。当初、8 GB の USB メモリに OS をインス
トールしたが、PC-IRAF など各種ソフトウェアをインストールしていくうちに、容量が足りなくなって
しまい。改めて、16 GB の USB メモリに OS とソフトウェアを再インストールした。
PC : レノボ製 ノートPC, Lenovo 3000 V100 Notebook 0763-64J
CPU : Core Duo T2300E 1.66GHz(2MB)
Memory : 1.0GB
HDD : 100GB (今回はあまり意味は無いけど)
USB Flash Memory :
BUFFALO製 RUF2-WB8G-BK ( 8GB : USB 2.0 対応)(8GBでは容量不足)
Transcend 製 JetFlash 600 TS16GJF600 ( 16GB : USB 2.0 対応)(各種ツールをインストールしていくと容量不足になった)
I-O DATA製 TB-3X64G/S ( 64GB : USB 3.0 & USB 2.0 対応) --- ubuntu のシステム用
Transcend製 TS64GJF530 ( 64GB : USB 2.0 対応) --- データ保存用
Silicom Power製 ULTIMA II i-Series SP032GBUF2M01V1k (32GB : USB 2.0 対応) --- データ保存用
OS : Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix
----- I. USBメモリとインストールDVDの準備 -----
まず最初に、OS と各種ソフトウェアをインストールする USB メモリを用意するが、8 GB では足りな
いので容量が 16 GB 以上のものを用意する。
Ubuntu Japanese Team のホームページなどから、Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix のイメージ(iso)
ファイル(ubuntu-ja-12.10-desktop-i386.iso)をダウンロードし、これを DVD-R に焼き込んで、ブータ
ブルDVDを作成する。
Ubuntu-IRAF なる Ubuntu 用の各種天文学用ソフトウェアのインストール用ディスクのイメージファ
イルを、こちらからダウンロードし、これを DVD-R に焼き込む。
----- II. USBメモリへの Ubuntu 12.10 のインストール -----
1) 前項で作成した Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix のブータブル DVD をノートパソコンに挿入
して、Ubuntu 12.10 LiveDVD からブート。インストーラー起動。
2) インストール用 USB メモリを PC に指す。
3) 「インストーラー」で、「日本語」および「Ubuntuをインストール」を選択
4) 「Ubuntuのインストール準備」で、
(4a) 「空き容量」「電源」「インターネット接続」を確認。
(4b) 『インストール中にアップデート~』をチェック。
(4c) 『サードパーティーの~』のチェックを外す。
(4d) 「続ける」を選択。
5) インストールの方法としては、既存の HDD では無く、USBメモリにインストールするため、
「それ以外」を選択。
6) 「インストールの種類」では、インストールするUSBメモリに対して、パーティションを以下の
ように設定した。
(6a) /dev/sdb 以下に不要なパーティションがあれば、「-」で削除。
(6b) /dev/sdb 以下に、各パーティションを用意
・ マウントポイント「/boot」 : 「基本パーティション」、「ext4」で「この領域始点から」128 MB。
・ スワップ領域 : 「基本パーティション」、「終点から」2048 MB。
・ マウントポイント「/」 : 「基本パーティション」、「ext4」で残り全部を確保。
(6c) 「ブートローダーをインストールするデバイス」: USBメモリそのもの
(6d) 「インストール」。
7) インストール途中で、都市名、キーボード設定、などに対して、
「Tokyo」、「日本語」-「日本語」、「USER名」と「パスワード」、「写真」など、
を適宜設定。
8) インストール完了後、USB メモリからリブート。
----- III. Ubuntu 12.10 の設定(必要な場合のみ) -----
01) apt.conf へのプロキシ・サーバーの設定。
Ubuntu 12.10 のインストール完了直後の状態では、PC-IRAFや他のソフトウェア導入に際して、幾つか
不十分な部分がある。一番大きいのは、apt-get の設定ファイル apt.conf が、/etc/apt/ の下に存在
しないことであろうか。そこでまず、以下のようにして、必要に応じて apt.conf を作成する。
「DASH」から「検索」で「端末」をキーワードに検索して、「端末」を起動。ターミナルが一つ立ち
上がる。ここから、
sudo vi /etc/apt/apt.conf [RET]
として、proxy の設定が必要であれば、この中に、
「Acquire::http::proxy "http://aho-proxy.sugoi-univ.ac.jp:[port]/";」
と記述して保存。なお、「aho-proxy.sugoi-univ.ac.jp」は proxy サーバーのアドレス、[port]は
ポート番号である。これらが分からない場合は、各機関のネットワーク関係者に確認して欲しい。
02) source.list の設定変更。
Ubuntu 12.10 のサポートは、2014年04月で終了している(Ubuntu Japanese Team のページを参照)。
そのため、当初の設定のままでは apt-get update を走らせても、エラーが多く出て上手く行かない。
どうやらこれは ubuntu 12.10 に対応したアプリケーションのアーカイブ先が変更されたためらしい。
そこで、/etc/apt/source.list 中で、
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
となっている箇所を、
deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
と修正した上で「apt-get update」を走らせればOK。
----- IV. 各種ソフトウェアのインストール -----
PC-IRAF のインストールには、csh や tcsh が必要なはずだが、インストール完了直後の Ubuntu
12.10 ではインストールされていない。そこでまず、apt-get を用いて、これらからインストールする。
なお、sudo で実行するため、折につけて USER PASSWD を訊かれるので、適宜入力すること。
取り敢えずは apt-get の情報のアップデートを以下のように実行。
sudo apt-get update [RET]
01) シェル( csh と tcsh )のインストール(実際には、どちらか一方でいいと思う)。
「端末」から、
sudo apt-cache search csh [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install csh [RET] (+401 kB)
sudo apt-cache search tcsh [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install tcsh [RET] (+1,403 kB)
02) 端末エミュレータ kterm のインストール(必要ならば)
「端末」から、
sudo apt-cache search kterm [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install kterm [RET] --> 「2,528 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
03) 描画ツール gnuplot のインストール(これはあった方が良いと思う)。
gnuplot だけだと、グラフの plot に対して、"Terminal type set to 'unknown'" というメッセージが出て、
グラフが描画されないという現象に出くわす。gnuplot-x11 をインストールしておけば、この問題点は
解決される。
「端末」から、
sudo apt-cache search gnuplot [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install gnuplot [RET] --> 「29.4 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
sudo apt-cache search gnuplot-x11 [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install gnuplot-x11 [RET] --> 「11.0 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
04) FORTRAN コンパイラ gfortran のインストール(これもあった方が良いと思う)。
「端末」から、
sudo apt-cache search gfortran [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install gfortran [RET] --> 「16.2 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
05) 組版プログラム LaTeX のインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search texlive-latex-base [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install texlive-latex-base [RET] --> 「106 MB をダウンロード後、さらに213 MB を
インストール」に対して「y」で回答。ネットワーク
の速度にもよるが、ダウンロードとインストールに
30分程度かかった。
06) エディタ xemacs のインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search xemacs21 [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install xemacs21 [RET] --> 「111 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
07) ポストスクリプトとPDFのビューア gv のインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search gv [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install gv [RET] --> 「1,008 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
08) 統計解析用ソフトウェア R のインストール。
( gfortran のインストール前に、R のインストールを実行すると、ソフトウェアの依存性から、
gfortran も自動的にインストールされることになる。 )
「端末」から、
sudo apt-cache search r-base [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install r-base [RET] --> 「122 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
09) PC-IRAFなど Ubuntu-IRAF による天文学研究用ソフトウェアのインストール。
Ubuntu-IRAF を焼き込んだ DVD を PC に挿入する。なお、これにより、以下のような天文学研究用
ソフトウェアがインストールされる。
IRAF 2.14.1
X11IRAF 2.0BETA
STSDAS 3.14
TABLES 3.14
STSCI_PYTHON 2.11
PyRAF 1.10
PyFITS 2.2.2
DS9 6.2
WCSTOOLS 3.8.1
TELARCHIVE 1.6.1
PHIST 2.0
STECF 1.5
FV 5.3
XVISTA 7.10
PLCREATE 1.0
GEMINI 1.10
インストールするには、「端末」から、
sudo -s [要PASSWD] [RET]
cd /media/[適当なパス]/IRAF_Ubuntu [RET]
sh ./install.sh [RET]
でOK。大量のソフトウェアを導入するので、インストール完了には結構時間がかかると思う。
10) 銀河のプロファイル・フィッティング・ツール GALFIT のインストール。
2013年06月20日2016年09月07日現在の最新バージョンは 3.0.5 である。GALFIT の HP から、
「Debian/Ubuntu32」用のバイナリを DL し、適当なディレクトリで解凍すればOK。
こちらも参照のこと。
11) 天体自動検出ツール Source Extractor のインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search sextractor [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install sextractor [RET] --> 「21.9 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
で、インストールは完了のはずなのだが、いざ、実行すると、いろいろと設定が不十分なようで、
まだきちんと動かせていません(^_^;。
これでインストールされるのは、2013年07月12日2016年09月07日現在で、version 2.8.6。
「大島氏(大島玉島観測所)のHP」と「すばるデータ解析のページ」の Suprime-Cam の
データ解析ページ中の、Source Extractor に関するページを参考に、Source Extractor (=
SExtractor)インストール後の設定を行った。
なお、参考にした大島氏のページはこちら。また、Sprime-Cam の参考ページはこちら。
適当な作業用ディレクトリ(ここでは「dummy」とします)を用意し、その中に移動する。
そして、このディレクトリへ、必要な各種ファイル(設定ファイルやガウシアン・フィルター)
をコピーする。
mkdir dummy
cd dummy
cp /usr/share/sextractor/* .
後は、Source Extractor を走らせる際の各種条件を設定・記述するファイル(*.sex)と、
出力する情報を選択するファイル(*.param)を用意する必要がある。前者は、default.sex、
後者は、default.param を適当な名前(ここでは「dummy.*」とします)でコピーして、これらを
編集して使うことにする。
cp default.sex dummy.sex
cp default.param dummy.param
ただし、default.param には、記述されていないパラメータもあるとのことで、マニュアルも
きちんとチェックすること。マニュアルは、ここやここにあるとのこと。
12) PDFファイル閲覧用ツール xpdf のインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search xpdf [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install xpdf [RET] --> 「2,194 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
でOK。しかし、gv をインストールしていれば、これはインストール不要かな。
13) 天体画像の位置・座標較正用ツール wcstools のインストール。
Ubuntu-IRAF の導入で、インストールされるはずだが。。。
「端末」から、
sudo apt-cache search wcstools [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install wcstools [RET] --> 「2,000 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
で、インストールは完了。
14) グラフィック・ライブラリ PGPLOT のインストール ~ SPIRAL 導入のために。
銀河の表面測光のために SPIRAL を導入したいが、これに先立って、PGPLOT と CFITSIO をインストール
する必要がある。
まずは PGPLOT から。「sudo apt-get install pgplot5」でもインストール出来そうなのだが、どうも、
どこにインストールされるのか?など少し気になる点があるため、思い切って、ソースからコンパイルする
ことにした。PGPLOT のソースはこのあたりからダウンロード。最新版は、2014年12月18日2016年09月07日
現在で 5.2.2 だが、wikipedia によると2005年春から現在まで、このバージョンのようだ。
インストールの手順は以下の通り。しかし、これに先んじて、gfortran をインストールしておくこと。
なお、こちらのページを参照のこと。
「端末」から、
cd /usr/local/src
sudo tar -zxvf [PATH]/pgplot522.tar.gz --> /usr/local/src にファイルを展開。
cd pgplot/sys_linux
sudo cp g77_gcc.conf gfortran_gcc.conf --> conf ファイルをコピー。
sudo vi gfortran_gcc.conf --> conf ファイルの編集。
( FCOMPL="g77" を FCOMPL="gfortran" に修正)
sudo mkdir /usr/local/pgplot --> pgplot の置き場所を作成。
sudo chown [your ID] /usr/local/pgplot --> オーナーの変更。
cd /usr/local/pgplot
cp ../src/pgplot/drivers.list . --> ドライバーリストのコピー。
vi drivers.list --> ドライバーリストの編集。
( PSDRIV 1 /PS
PSDRIV 2 /VPS
PSDRIV 3 /CPS
PSDRIV 4 /VCPS
XWDRIV 1 /XWINDOW
XWDRIV 2 /XSERVE
のコメント・アウトを外して有効にする。)
sudo /usr/local/src/pgplot/makemake /usr/local/src/pgplot linux gfortran_gcc --> make ファイルの作成。
sudo make
sudo make clean
sudo make cpg
これでコンパイルは完了。続いて、以下のようにリンクを貼る。
cd /usr/local/bin
sudo ln -s /usr/local/pgplot/pgxwin_server .
cd /usr/local/lib
sudo ln -s /usr/local/pgplot/lib* .
cd /usr/local/include
sudo ln -s /usr/local/pgplot/*.h .
最後に次のようにパスを通す。
tcsh の場合は、.tcshrc に、
setenv LD_LIBRARY_PATH /usr/local/lib を追加。
bash の場合は、.bashrc に、
export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/lib を追加。
以上で全て完了。
15) CFITSIO のインストール ~ SPIRAL 導入のために。
SPIRAL の導入に先立って、PGPLOT と CFITSIO のインストールが必要。CFITSIO の最新版は
V3.370(2014年12月18日現在)V3.390(2016年09月07日)で、ダウンロードはこちらから
ダウンロード可能。インストールの手順は以下のとおり。
なお、CFITSIO のインストールに関して、こちらのページを参照のこと。以前、同様の手順で
V3.350 およびV3.370、V3.390 のインストールに成功している。
「端末」から、
tar -zxvf cfitsio3390.tar.gz --> 任意の場所でファイルを展開。
cd cfitsio
./configure --prefix=/usr/local
make
sudo make install --> インストール完了。
各ファイルを次の場所にコピー。
/usr/local/lib/libcfitsio.a
/usr/local/include/drvrsmem.h, fitsio.h, fitsio2.h, longnam.h
以上で完了。
CFITSIO の導入はこれで終了だが、CFITSIO のソースファイルには、FITSファイル用の圧縮・
解凍ツールである fpack と funpack のソースファイルも同梱されている。ついでにこちらも
導入しておくことをお勧めする。詳細は次節を参照のこと。
16) FITSファイル圧縮・解凍ツール fpack と funpack のインストール。~ CFITSIO のついでに ~
FITS形式画像ファイルに最適化された圧縮・解凍ツールである。Integer型のFITSファイルに
対しては可逆的に圧縮され、その圧縮率・圧縮速度はgzipよりも高いとのこと。また、圧縮
データへのスピーディーなアクセスのために、FITSヘッダー部は圧縮しないなどの特徴を持って
いる。
公式ページはこちら、であるが、fpack と funpack のCソース・ファイルとインクルード・
ファイルは、実は、CFITSIO と一緒に配布されている。従って、まずは CFITSIO の公式ページ
から、cfitsio3390.tar.gz をダウンロードした後に、以下のように行う。
「端末」から、
tar -zxvf cfitsio3390.tar.gz --> 任意の場所でファイルを展開。
cd cfitsio
./configure
make
make fpack
make funpack
これで実行ファイルである fpack と funpack ができたので、これを適当な場所に置けばOK。
ちなみに筆者は、
解凍して作られるディレクトリ cfitsio で、「端末」から、
sudo cp -pr fpack /usr/local/bin/.
sudo cp -pr funpack /usr/local/bin/.
として、/usr/local/bin/ に置いた。
17) 銀河の表面測光用ライブラリ SPIRAL のインストール。
SPIRAL の公式ページはこちらで、2014年12月18日2016年09月07日現在の最新版は 2008-08-15版
(v2.9.992)。インストールについては、SPIRAL 作成者の一人である濱部氏のHPを参照のこと。
なお PGPLOT と CFITSIO のインストールを完了しておくこと。
「端末」から、
cd /iraf/extern
sudo tar -zxvf [PATH]/spiral20080815.tgz --> ファイルを展開。
cd spiral/src
sudo cp MakeMeAll MakeMeAll.backup --> makeファイル作成スクリプトをコピー。
sudo vi MakeMeAll --> makeファイル作成スクリプトを以下のように編集。
[ if ( $OS == Linux2.6 ) then --> if ( $OS == Linux3.5 ) then ]
sudo ./CleanMe --> 「エラー」「ファイルがありません」などそこそこ出るが気にしなくてOK。
sudo ./MakeMeAll
以上でコンパイル終了。続いて、IRAF の設定ファイルを以下のように編集する。
sudo vi /iraf/iraf/unix/hlib/extern.pkg
reset spiral = /iraf/extern/spiral/ を追記。
task spiral.pkg = spiral$spiral.cl を追記。
reset helpdb = "lib$helpdb.mip\ (以下略)に、
,spiral$lib/helpdb.mip\ を追記。
これで、IRAF に SPIRAL の登録が完了した。
18) 銀河SEDの化学進化計算コード PEGASE のインストール。
PEGASE の公式ページはこちら。2013年07月18日2016年09月07日現在の最新は version 2 で、
このページから、
PEGASE.2.tar.gz --- ソース・コード
stellibLCBcor.tar.gz --- 恒星進化ライブラリ
README_PEGASE.2 --- readme ファイル
の3つのファイルをダウンロードする。
適当なディレクトリで、「端末」から、以下のようにディレクトリとファイルを展開。
tar -zxvf PEGASE.2.tar.gz --> PEGASE.2 ディレクトリが作成、ファイル展開。
tar -zxvf stellibLCBcor.tar.gz --> PEGASE.2 にファイル展開。
mv README_PEGASE.2 PEGASE.2/.
続いて、ソースをコンパイル。ただし、事前に fortran コンパイラを導入しておくこと。
cd PEGASE.2
f95 calib.f -o calib
f95 colors.f -o colors
f95 spectra.f -o spectra
f95 SSPs.f -o SSPs
f95 scenarios.f -o scenarios
と五つのソースをコンパイルすれば完了。ちなみにコンパイラは f77 でもOK。
インストールと使い方については、こちらも参照のこと。
19) 光電離シミュレーション・コード Cloudy のインストール。
様々な光電離の条件によって生じる電離ガス・スペクトルのシミュレーション・コード。
AGN や HII 領域、惑星状星雲などの研究でよく使用される。Cloudy の公式ページはこちら
で、2016年09月09日現在の最新版は C13.04 である。
公式のトップページ中に幾つか存在する「DownloadLinks」を左クリックすることで、
ソースファイルのダウンロード先のページへジャンプできる。このページ中の「Links to
download Cloudy」の赤字「This」を左クリックして Cloudy の各種バージョンのダウン
ロード先から「c13」を選らぶか、「C13.04 is available for download as a tarball」の
後の赤字「here」を左クリックして、ソースファイル (c13.04.tar.gz, 約68MB) のダウン
ロードを行う。
インストール(というかコンパイル)の方法は以下の通り。
まず、ソースファイルを適当なディレクトリに置いて、「端末」から、
tar -zxvf c13.04.tar.gz [RET] --> ディレクトリ c13.04 が解凍される
cd c13.04/source [RET]
make [RET]
これで c13.04/source/ に、実行ファイル cloudy.exe が出力されて完了。
続いて、c13.04/source で、「端末から」、
./cloudy.exe [RET] --> [RET]の後、プロンプトが返って来ないが気にせず続けて、
test [RET] --> やはり[RET]の後、プロンプトが返って来ないが気にしない。
[RET]
とすると、いろいろ表示されて、きちんと動いているか否かを確認できる。ちなみに、test
以外の文字を入力すると、エラーが出て止まってしまう。
Cloudy の使用方法については、c13.04/docs に、QuickStart_c13.pdf、hazy1_c13.pdf、
hazy2_c13.pdf などが用意されているので、これらを参照して欲しい。
20) パーティション管理ツール GParted のインストール。
別途USBメモリをデータ置き場としたい時などは、これを使ってメモリのパーティションを
設定して、これを ext4 形式でフォーマットする。
「端末」から、
sudo apt-cache search gparted [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install gparted [RET] (+1,876 kB)
で、インストールは完了。
21) MS-Windows 用ソフトの動作環境を提供するツール Wine のインストール。
研究には直結しないが、学生実習などでは MS-Windows を使用せざるを得ないことも多く、
今後使用する可能性を考えてインストール。ただし、インストール後の各種設定(特に日本
語フォントに関するもの)については、現在まで全く行っていない(笑)。
「端末」から、
sudo apt-cache search wine [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install wine [RET] --> 「270 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
で、インストールは完了。
22) グラフ描画ツール Ngraph のインストール。
MS-Windows で愛用していたが、今更ながら Linux でも使ってみようとインストール。
「端末」から、
sudo apt-cache search ngraph [RET] --> パッケージ ngraph-gtk の確認
sudo apt-get install ngraph-gtk [RET] --> 「6,373 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
で、インストールは完了。
23) キー操作矯正ツール(笑)SL のインストール。
ちゃんと「ls」って入力しないと汽車が走ります(爆笑)。特にインストールしなくても
研究は出来ると思います。
「端末」から、
sudo apt-cache search sl [RET] --> パッケージの確認
sudo apt-get install sl [RET]
で、インストールは完了。さぁ、汽車を走らせよう!
----- V. 各種ソフトウェアのアンインストール -----
使うと思って apt-get を使ってインストールしたものの、やはり使わないなぁ、という場合、
そのソフトウェアは、USB メモリの容量確保の意味でもアンインストールした方が良いだろう。
Apt-get を使ってインストールしたなら、「端末」から以下のようにすればOK(らしい)。
a) 指定したパッケージのみをアンインストールする場合は以下を実行。この場合は、
インストール時に導入された依存関係のあるパッケージや設定ファイル(?)などは
そのままとのこと。
sudo apt-get remove {パッケージ名} [RET]
b) 指定したパッケージに加えて、設定ファイル(?)も削除するには、以下を実行。
しかし、インストール時に導入された依存関係のあるパッケージはそのままらしい。
sudo apt-get purge {パッケージ名} [RET]
なお、ubuntu では、
sudo apt-get remove --purge {パッケージ名} [RET]
でも良いらしい。
c) 指定したパッケージだけでなく、設定ファイル(?)や依存関係にあるため、イン
ストール時に導入されたパッケージまでもアンインストールするには、
sudo apt-get autoremove {パッケージ名} [RET]
を実行。ただし、オプション autoremove は、apt の 0.7系から使えるものらしい。古い
バージョンでは使えないということか。
結局、xpdf、wine を autoremove オプションでアンインストール。
----- VI. データ保存用 USB メモリの準備 -----
最近は、32GB や 64GB という大容量の USB メモリも、そこそこの価格で入手できるように
なってきた(その分、壊れたときの物理的・心理的ダメージも大きいけど。。。)。これらを
丸ごと、データ置き場として用意すれば、Ubuntu システム用の USB メモリと、データ保存用
の USB メモリの2本を携帯するだけで、ちょっとしたデータ解析環境を持ち歩くことができる
ことになる。Knoppix を試していたときにも考えていたが、これはとても嬉しい状況である。
まず、データ保存用 USB メモリを、PC に接続。USB メモリが自動的にシステムに mount
されると、後々エラーに出くわす可能性もあるので、注意して、umount しておく。umount する
場合は、勿論、
sudo umount /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)
でOK。改めて、
sudo fdisk /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)
で fdisk を起動。
「p」で USB メモリの領域を確認。
「d」を必要に応じて繰り返して、USB メモリの全領域を削除。
「n」-->「p」-->「1 (領域番号)」で領域を確保。セクタ番号は取れるだけ取るという
ことで、「最初セクタ」「Lastセクタ」ともに初期値のままにした。
「w」でパーティションテーブルを変更。USB メモリが mount されていると、この時に、
エラーが出るようだ(当然と言えば当然か)。
続いて、ext4形式で USB メモリをフォーマット。
sudo mkfs.ext4 /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)
--> 質問に対しては「Yes」でOK。
32GB(USB 2.0対応)の USB メモリに対して、数分で終わった。
FAT32形式でUSBメモリをフォーマットすれば、MS-Windows でもデータを共有できる。
この場合は、
sudo mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)
とすること。
フォーマットが終わった USB メモリを一旦抜いて、再度、PC に挿入すると、自動的に認識、
mount されて、無事 32GB のデータ保存領域が完成しましたと。
64GB の USB メモリなら、さらに容量倍増。しかし、先日、2,3ヶ月前に作成した 64GB
USB メモリのデータ領域が、物理的に壊れました。。。解析途中のデータが全てパーになり
ました。。。注意しましょう。USB メモリは、結局は消耗品です。。。
----- VII. USBメモリの容量節約の手順 -----
しばらく ubuntu 12.10 を使っていると、/boot の容量不足という警告とともに、アップ
デートが出来なくなることがある。これは、/boot 領域(必ずしも USB メモリや HDD その
ものの容量不足と言う訳ではない)がいっぱいになってしまったために、この領域にアップ
デートしたカーネルのイメージファイルなどが書き込めなくなったために起こるようだ。
インターネットで調べた所、/boot に、古いバージョンのカーネルイメージが結構残され
ており、これが /boot の容量を圧迫するのが原因のようである。従って、これらの幾つかを
削除することで /boot に空きを作る、というのがベストの対処法のようだ。
まず、現在使われているカーネルイメージをチェック。
uname -a [RET]
以下は、表示されたメッセージである。
***** ****** 3.5.0-41-generic #64-Ubuntu SMP Wed Sep 11 15:40:48 UTC 2013 i686 i686 i686 GNU/Linux ( * は伏字)
つまり、現在使用しているカーネルイメージは「3.5.0-41-generic」とのことだ。
続いて、インストールされているカーネルイメージを以下のようにチェック。
dpkg --get-selections | grep linux-image [RET]
以下が表示されたメッセージ。
linux-image-3.5.0-17-generic install
linux-image-3.5.0-36-generic install
linux-image-3.5.0-40-generic install
linux-image-3.5.0-41-generic install
linux-image-extra-3.5.0-17-generic install
linux-image-extra-3.5.0-36-generic install
linux-image-extra-3.5.0-40-generic install
linux-image-extra-3.5.0-41-generic install
linux-image-generic install
確かにいっぱいありますな。取り合えず、今使っている「3.5.0-41-generic」と一つ前の
「3.5.0-40-generic」があればOKだろう、ということで、これら以外をアンインストール
する。手順は以下の通り。
sudo apt-get remove linux-image-3.5.0-17-generic [RET]
sudo apt-get autoremove [RET]
sudo apt-get remove linux-image-3.5.0-36-generic [RET]
sudo apt-get autoremove [RET]
これで確かに /boot 容量に関する警告は出なくなりました。
まぁ、アップデートを続けていくと、そのうちまた不要なカーネルイメージが増えて、
警告が出てくることになると思われます。