(2013年06月20日 作成 --- 2020年11月10日 更新)


Ubuntu 12.10 をUSBメモリから起動して天文学研究に使ってみる





0.   ここ2年ばかり KNOPPIX(クノーピクス) を使った天文学研究の可能性をいろいろと試行錯誤
   してきた。個人的には「手軽にシステムを持ち運びできて、結構、いろいろと出来るようだ」と
   言うのが感想である。問題点の一つ目は容量が少ないことだが、そもそも KNOPPIX の長所がコン
   パクトでお手軽な点であり、これを KNOPPIX の短所とするのは、前提が間違っていると言えよう。
   むしろ、本質的な問題点は、研究遂行のためにインストールすべきソフトウェアが沢山あり、これ
   に非常に時間がかかる、という点ではなかろうか?

     この業界に入ってから、一貫して Vine Linux に PC-IRAF をインストールして、データ・リダ
   クションを行ってきたが、いよいよ Vine Linux 6 に至って、PC-IRAF を動かす作業が面倒になって
   きたようだ(あくまで噂だが。。。)。そこで、思い切って、Vine Linux から Ubuntu に乗り換えて
   みることにした。Ubuntu を選んだ理由は、1) ここ数年でユーザーが爆発的に増えた(ようだ。日経 
   Linux でもしばしば取り上げられている)、2) PC-IRAF と多くの天文学研究用ソフトウェアをいっき
   に Ubuntu にインストールするための DVD (のisoファイル)がインターネット上に公開されている、
   3) 筆者が研究で頻繁に使用するソフトウェアのほとんどが、Ubuntu 上で動くらしい、4) USB メモリ
   からの起動が可能らしい、の4点である。特にソフトウェア導入が楽な点と、現有環境を維持したまま、
   USB メモリでお試しができるという意味で、 2) と 4) は大きい。
     Ubuntu は KNOPPIX 同様、Debian から派生した Linux ディストリビューションである。2013年06月
   18日現在の最新版は Ubuntu 13.04 であるが、今回は、手元にあった日経 Linux 2013年2月号に、ブー
   タブル DVD が付いてきたこともあって、Ubuntu 12.10 を用いた。
     Ubuntu の Japanese Team の HP はこちら。ここ
   から、最新版の日本語 Remix のイメージ(iso)ファイルを DL できる。なお、Ubuntu 12.04.2 以降は、
   容量が大きくなったため、イメージファイルは CD ではなく、DVD に焼き込む必要があるとのこと。

     本稿は、Ubuntu 12.10 を USB メモリから起動できるようにインストールし、加えて、天文学の研究
   に必要な各種ソフトウェアのインストール方法と、それらに必要な各種設定の備忘録である。
     このシステムを動作させたPC環境は以下の通りである。当初、8 GB の USB メモリに OS をインス
   トールしたが、PC-IRAF など各種ソフトウェアをインストールしていくうちに、容量が足りなくなって
   しまい。改めて、16 GB の USB メモリに OS とソフトウェアを再インストールした。

         PC     : レノボ製 ノートPC, Lenovo 3000 V100 Notebook 0763-64J
         CPU    : Core Duo T2300E 1.66GHz(2MB)
         Memory : 1.0GB
         HDD    : 100GB (今回はあまり意味は無いけど)

         USB Flash Memory : 
                  BUFFALO製 RUF2-WB8G-BK ( 8GB : USB 2.0 対応)(8GBでは容量不足)
                  Transcend 製 JetFlash 600 TS16GJF600 ( 16GB : USB 2.0 対応)(各種ツールをインストールしていくと容量不足になった)
                  I-O DATA製 TB-3X64G/S ( 64GB : USB 3.0 & USB 2.0 対応) --- ubuntu のシステム用
                  Transcend製 TS64GJF530 ( 64GB : USB 2.0 対応) --- データ保存用
                  Silicom Power製 ULTIMA II i-Series SP032GBUF2M01V1k (32GB : USB 2.0 対応) --- データ保存用

         OS     : Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix


----- I. USBメモリとインストールDVDの準備  -----

     まず最初に、OS と各種ソフトウェアをインストールする USB メモリを用意するが、8 GB では足りな
   いので容量が 16 GB 以上のものを用意する。

     Ubuntu Japanese Team のホームページなどから、Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix のイメージ(iso)
   ファイル(ubuntu-ja-12.10-desktop-i386.iso)をダウンロードし、これを DVD-R に焼き込んで、ブータ
   ブルDVDを作成する。

     Ubuntu-IRAF なる Ubuntu 用の各種天文学用ソフトウェアのインストール用ディスクのイメージファ
   イルを、こちらからダウンロードし、これを DVD-R に焼き込む。


----- II. USBメモリへの Ubuntu 12.10 のインストール  -----

   1) 前項で作成した Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix のブータブル DVD をノートパソコンに挿入
    して、Ubuntu 12.10 LiveDVD からブート。インストーラー起動。

   2) インストール用 USB メモリを PC に指す。

   3) 「インストーラー」で、「日本語」および「Ubuntuをインストール」を選択

   4) 「Ubuntuのインストール準備」で、
      (4a) 「空き容量」「電源」「インターネット接続」を確認。
      (4b) 『インストール中にアップデート~』をチェック。
      (4c) 『サードパーティーの~』のチェックを外す。
      (4d) 「続ける」を選択。

   5) インストールの方法としては、既存の HDD では無く、USBメモリにインストールするため、
    「それ以外」を選択。

   6) 「インストールの種類」では、インストールするUSBメモリに対して、パーティションを以下の
    ように設定した。
      (6a) /dev/sdb 以下に不要なパーティションがあれば、「-」で削除。
      (6b) /dev/sdb 以下に、各パーティションを用意
         ・ マウントポイント「/boot」 : 「基本パーティション」、「ext4」で「この領域始点から」128 MB。
         ・ スワップ領域              : 「基本パーティション」、「終点から」2048 MB。
         ・ マウントポイント「/」     : 「基本パーティション」、「ext4」で残り全部を確保。
      (6c) 「ブートローダーをインストールするデバイス」: USBメモリそのもの
      (6d) 「インストール」。

   7) インストール途中で、都市名、キーボード設定、などに対して、
          「Tokyo」、「日本語」-「日本語」、「USER名」と「パスワード」、「写真」など、
    を適宜設定。

   8) インストール完了後、USB メモリからリブート。


----- III. Ubuntu 12.10 の設定(必要な場合のみ) -----

   01) apt.conf へのプロキシ・サーバーの設定。

      Ubuntu 12.10 のインストール完了直後の状態では、PC-IRAFや他のソフトウェア導入に際して、幾つか
    不十分な部分がある。一番大きいのは、apt-get の設定ファイル apt.conf が、/etc/apt/ の下に存在
    しないことであろうか。そこでまず、以下のようにして、必要に応じて apt.conf を作成する。

      「DASH」から「検索」で「端末」をキーワードに検索して、「端末」を起動。ターミナルが一つ立ち
    上がる。ここから、

           sudo vi /etc/apt/apt.conf [RET]

    として、proxy の設定が必要であれば、この中に、

           「Acquire::http::proxy "http://aho-proxy.sugoi-univ.ac.jp:[port]/";」

    と記述して保存。なお、「aho-proxy.sugoi-univ.ac.jp」は proxy サーバーのアドレス、[port]は
    ポート番号である。これらが分からない場合は、各機関のネットワーク関係者に確認して欲しい。

   02) source.list の設定変更。

      Ubuntu 12.10 のサポートは、2014年04月で終了している(Ubuntu Japanese Team のページを参照)。
    そのため、当初の設定のままでは apt-get update を走らせても、エラーが多く出て上手く行かない。
    どうやらこれは ubuntu 12.10 に対応したアプリケーションのアーカイブ先が変更されたためらしい。
    そこで、/etc/apt/source.list 中で、

          deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
          deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
          deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu (以下略)

    となっている箇所を、

          deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
          deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)
          deb http://old-releases.ubuntu.com/ubuntu (以下略)

    と修正した上で「apt-get update」を走らせればOK。


----- IV. 各種ソフトウェアのインストール -----

      PC-IRAF のインストールには、csh や tcsh が必要なはずだが、インストール完了直後の Ubuntu 
    12.10 ではインストールされていない。そこでまず、apt-get を用いて、これらからインストールする。
    なお、sudo で実行するため、折につけて USER PASSWD を訊かれるので、適宜入力すること。
    取り敢えずは apt-get の情報のアップデートを以下のように実行。

           sudo apt-get update [RET]


   01) シェル( csh と tcsh )のインストール(実際には、どちらか一方でいいと思う)。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search csh [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install csh [RET] (+401 kB)

           sudo apt-cache search tcsh [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install tcsh [RET] (+1,403 kB)


   02) 端末エミュレータ kterm のインストール(必要ならば)

       「端末」から、

           sudo apt-cache search kterm [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install kterm [RET] --> 「2,528 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   03) 描画ツール gnuplot のインストール(これはあった方が良いと思う)。
       gnuplot だけだと、グラフの plot に対して、"Terminal type set to 'unknown'" というメッセージが出て、
     グラフが描画されないという現象に出くわす。gnuplot-x11 をインストールしておけば、この問題点は
     解決される。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search gnuplot [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install gnuplot [RET] --> 「29.4 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答
           sudo apt-cache search gnuplot-x11 [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install gnuplot-x11 [RET] --> 「11.0 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   04) FORTRAN コンパイラ gfortran のインストール(これもあった方が良いと思う)。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search gfortran [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install gfortran [RET] --> 「16.2 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   05) 組版プログラム LaTeX のインストール。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search texlive-latex-base [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install texlive-latex-base [RET] --> 「106 MB をダウンロード後、さらに213 MB を
                                                            インストール」に対して「y」で回答。ネットワーク
                                                            の速度にもよるが、ダウンロードとインストールに
                                                            30分程度かかった。


   06) エディタ xemacs のインストール。


       「端末」から、

           sudo apt-cache search xemacs21 [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install xemacs21 [RET] --> 「111 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   07) ポストスクリプトとPDFのビューア gv のインストール。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search gv [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install gv [RET] --> 「1,008 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   08) 統計解析用ソフトウェア R のインストール。
       ( gfortran のインストール前に、R のインストールを実行すると、ソフトウェアの依存性から、
          gfortran も自動的にインストールされることになる。 )

       「端末」から、

           sudo apt-cache search r-base [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install r-base [RET] --> 「122 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答


   09) PC-IRAFなど Ubuntu-IRAF による天文学研究用ソフトウェアのインストール。
       Ubuntu-IRAF を焼き込んだ DVD を PC に挿入する。なお、これにより、以下のような天文学研究用
     ソフトウェアがインストールされる。

                IRAF          2.14.1
                X11IRAF       2.0BETA
                STSDAS        3.14
                TABLES        3.14
                STSCI_PYTHON  2.11
                PyRAF         1.10
                PyFITS        2.2.2
                DS9           6.2
                WCSTOOLS      3.8.1
                TELARCHIVE    1.6.1
                PHIST         2.0
                STECF         1.5
                FV            5.3
                XVISTA        7.10
                PLCREATE      1.0
                GEMINI        1.10

       インストールするには、「端末」から、

           sudo -s [要PASSWD] [RET]
           cd /media/[適当なパス]/IRAF_Ubuntu [RET]
           sh ./install.sh [RET]

     でOK。大量のソフトウェアを導入するので、インストール完了には結構時間がかかると思う。


   10) 銀河のプロファイル・フィッティング・ツール GALFIT のインストール。
       2013年06月20日2016年09月07日現在の最新バージョンは 3.0.5 である。GALFIT の HP から、
    「Debian/Ubuntu32」用のバイナリを DL し、適当なディレクトリで解凍すればOK。
     こちらも参照のこと。


   11) 天体自動検出ツール Source Extractor のインストール。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search sextractor [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install sextractor [RET] --> 「21.9 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答

     で、インストールは完了のはずなのだが、いざ、実行すると、いろいろと設定が不十分なようで、
     まだきちんと動かせていません(^_^;。
        これでインストールされるのは、2013年07月12日2016年09月07日現在で、version 2.8.6。

       「大島氏(大島玉島観測所)のHP」と「すばるデータ解析のページ」の Suprime-Cam の
     データ解析ページ中の、Source Extractor に関するページを参考に、Source Extractor (= 
     SExtractor)インストール後の設定を行った。
       なお、参考にした大島氏のページはこちら。また、Sprime-Cam の参考ページはこちら。

       適当な作業用ディレクトリ(ここでは「dummy」とします)を用意し、その中に移動する。
     そして、このディレクトリへ、必要な各種ファイル(設定ファイルやガウシアン・フィルター)
     をコピーする。

           mkdir dummy
           cd    dummy
           cp    /usr/share/sextractor/* .

       後は、Source Extractor を走らせる際の各種条件を設定・記述するファイル(*.sex)と、
     出力する情報を選択するファイル(*.param)を用意する必要がある。前者は、default.sex、
     後者は、default.param を適当な名前(ここでは「dummy.*」とします)でコピーして、これらを
     編集して使うことにする。

           cp    default.sex  dummy.sex
           cp    default.param  dummy.param

       ただし、default.param には、記述されていないパラメータもあるとのことで、マニュアルも
     きちんとチェックすること。マニュアルは、ここここにあるとのこと。


    12) PDFファイル閲覧用ツール xpdf のインストール。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search xpdf [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install xpdf [RET] --> 「2,194 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答

      でOK。しかし、gv をインストールしていれば、これはインストール不要かな。


    13) 天体画像の位置・座標較正用ツール wcstools のインストール。
        Ubuntu-IRAF の導入で、インストールされるはずだが。。。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search wcstools [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install wcstools [RET] --> 「2,000 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答

     で、インストールは完了。


    14) グラフィック・ライブラリ PGPLOT のインストール ~ SPIRAL 導入のために。
        銀河の表面測光のために SPIRAL を導入したいが、これに先立って、PGPLOT と CFITSIO をインストール
      する必要がある。
        まずは PGPLOT から。「sudo apt-get install pgplot5」でもインストール出来そうなのだが、どうも、
      どこにインストールされるのか?など少し気になる点があるため、思い切って、ソースからコンパイルする
      ことにした。PGPLOT のソースはこのあたりからダウンロード。最新版は、2014年12月18日2016年09月07日
      現在で 5.2.2 だが、wikipedia によると2005年春から現在まで、このバージョンのようだ。
        インストールの手順は以下の通り。しかし、これに先んじて、gfortran をインストールしておくこと。
        なお、こちらのページを参照のこと。

       「端末」から、

           cd /usr/local/src
           sudo tar -zxvf [PATH]/pgplot522.tar.gz --> /usr/local/src にファイルを展開。
           cd pgplot/sys_linux
           sudo cp g77_gcc.conf gfortran_gcc.conf --> conf ファイルをコピー。
           sudo vi gfortran_gcc.conf --> conf ファイルの編集。
               ( FCOMPL="g77" を FCOMPL="gfortran" に修正)
           sudo mkdir /usr/local/pgplot --> pgplot の置き場所を作成。
           sudo chown [your ID] /usr/local/pgplot --> オーナーの変更。
           cd /usr/local/pgplot
           cp ../src/pgplot/drivers.list . --> ドライバーリストのコピー。
           vi drivers.list --> ドライバーリストの編集。
               ( PSDRIV 1 /PS
                  PSDRIV 2 /VPS
                  PSDRIV 3 /CPS
                  PSDRIV 4 /VCPS
                  XWDRIV 1 /XWINDOW
                  XWDRIV 2 /XSERVE
                  のコメント・アウトを外して有効にする。)
           sudo /usr/local/src/pgplot/makemake /usr/local/src/pgplot linux gfortran_gcc --> make ファイルの作成。
           sudo make
           sudo make clean
           sudo make cpg

         これでコンパイルは完了。続いて、以下のようにリンクを貼る。

           cd /usr/local/bin
           sudo ln -s /usr/local/pgplot/pgxwin_server .
           cd /usr/local/lib
           sudo ln -s /usr/local/pgplot/lib* .
           cd /usr/local/include
           sudo ln -s /usr/local/pgplot/*.h .

         最後に次のようにパスを通す。

           tcsh の場合は、.tcshrc に、 
               setenv LD_LIBRARY_PATH /usr/local/lib を追加。
           bash の場合は、.bashrc に、 
               export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/lib を追加。

       以上で全て完了。


    15) CFITSIO のインストール ~ SPIRAL 導入のために。
        SPIRAL の導入に先立って、PGPLOT と CFITSIO のインストールが必要。CFITSIO の最新版は
      V3.370(2014年12月18日現在)V3.390(2016年09月07日)で、ダウンロードはこちらから
      ダウンロード可能。インストールの手順は以下のとおり。
        なお、CFITSIO のインストールに関して、こちらのページを参照のこと。以前、同様の手順で
      V3.350 およびV3.370、V3.390 のインストールに成功している。

       「端末」から、

           tar -zxvf cfitsio3390.tar.gz --> 任意の場所でファイルを展開。
           cd cfitsio
           ./configure --prefix=/usr/local
           make
           sudo make install --> インストール完了。

        各ファイルを次の場所にコピー。

           /usr/local/lib/libcfitsio.a
           /usr/local/include/drvrsmem.h, fitsio.h, fitsio2.h, longnam.h

      以上で完了。
        CFITSIO の導入はこれで終了だが、CFITSIO のソースファイルには、FITSファイル用の圧縮・
      解凍ツールである fpack と funpack のソースファイルも同梱されている。ついでにこちらも
      導入しておくことをお勧めする。詳細は次節を参照のこと。


    16) FITSファイル圧縮・解凍ツール fpack と funpack のインストール。~ CFITSIO のついでに ~
        FITS形式画像ファイルに最適化された圧縮・解凍ツールである。Integer型のFITSファイルに
      対しては可逆的に圧縮され、その圧縮率・圧縮速度はgzipよりも高いとのこと。また、圧縮
      データへのスピーディーなアクセスのために、FITSヘッダー部は圧縮しないなどの特徴を持って
      いる。
        公式ページはこちら、であるが、fpack と funpack のCソース・ファイルとインクルード・
      ファイルは、実は、CFITSIO と一緒に配布されている。従って、まずは CFITSIO の公式ページ
      から、cfitsio3390.tar.gz をダウンロードした後に、以下のように行う。

       「端末」から、

           tar -zxvf cfitsio3390.tar.gz --> 任意の場所でファイルを展開。
           cd cfitsio
           ./configure
           make
           make fpack
           make funpack

        これで実行ファイルである fpack と funpack ができたので、これを適当な場所に置けばOK。
   ちなみに筆者は、

        解凍して作られるディレクトリ cfitsio で、「端末」から、

           sudo cp -pr fpack /usr/local/bin/.
           sudo cp -pr funpack /usr/local/bin/.

      として、/usr/local/bin/ に置いた。


    17) 銀河の表面測光用ライブラリ SPIRAL のインストール。
        SPIRAL の公式ページはこちらで、2014年12月18日2016年09月07日現在の最新版は 2008-08-15版
      (v2.9.992)。インストールについては、SPIRAL 作成者の一人である濱部氏のHPを参照のこと。
        なお PGPLOT と CFITSIO のインストールを完了しておくこと。

       「端末」から、

           cd /iraf/extern
           sudo tar -zxvf [PATH]/spiral20080815.tgz --> ファイルを展開。
           cd spiral/src
           sudo cp MakeMeAll MakeMeAll.backup --> makeファイル作成スクリプトをコピー。
           sudo vi MakeMeAll --> makeファイル作成スクリプトを以下のように編集。
                [ if ( $OS == Linux2.6 ) then --> if ( $OS == Linux3.5 ) then ]
           sudo ./CleanMe --> 「エラー」「ファイルがありません」などそこそこ出るが気にしなくてOK。
           sudo ./MakeMeAll

        以上でコンパイル終了。続いて、IRAF の設定ファイルを以下のように編集する。

           sudo vi /iraf/iraf/unix/hlib/extern.pkg

                reset spiral         = /iraf/extern/spiral/ を追記。
                task  spiral.pkg     = spiral$spiral.cl を追記。

                reset   helpdb          = "lib$helpdb.mip\ (以下略)に、
                                          ,spiral$lib/helpdb.mip\ を追記。

        これで、IRAF に SPIRAL の登録が完了した。


    18) 銀河SEDの化学進化計算コード PEGASE のインストール。
        PEGASE の公式ページはこちら2013年07月18日2016年09月07日現在の最新は version 2 で、
      このページから、

                PEGASE.2.tar.gz      --- ソース・コード
                stellibLCBcor.tar.gz --- 恒星進化ライブラリ
                README_PEGASE.2      --- readme ファイル

      の3つのファイルをダウンロードする。
        適当なディレクトリで、「端末」から、以下のようにディレクトリとファイルを展開。

           tar -zxvf PEGASE.2.tar.gz      --> PEGASE.2 ディレクトリが作成、ファイル展開。
           tar -zxvf stellibLCBcor.tar.gz --> PEGASE.2 にファイル展開。
           mv README_PEGASE.2 PEGASE.2/.

        続いて、ソースをコンパイル。ただし、事前に fortran コンパイラを導入しておくこと。

           cd PEGASE.2

           f95 calib.f -o calib
           f95 colors.f -o colors
           f95 spectra.f -o spectra
           f95 SSPs.f -o SSPs
           f95 scenarios.f -o scenarios

      と五つのソースをコンパイルすれば完了。ちなみにコンパイラは f77 でもOK。
        インストールと使い方については、こちらも参照のこと。


    19) 光電離シミュレーション・コード Cloudy のインストール。
        様々な光電離の条件によって生じる電離ガス・スペクトルのシミュレーション・コード。
      AGN や HII 領域、惑星状星雲などの研究でよく使用される。Cloudy の公式ページはこちら
      で、2016年09月09日現在の最新版は C13.04 である。
        公式のトップページ中に幾つか存在する「DownloadLinks」を左クリックすることで、
      ソースファイルのダウンロード先のページへジャンプできる。このページ中の「Links to 
      download Cloudy」の赤字「This」を左クリックして Cloudy の各種バージョンのダウン
      ロード先から「c13」を選らぶか、「C13.04 is available for download as a tarball」の
      後の赤字「here」を左クリックして、ソースファイル (c13.04.tar.gz, 約68MB) のダウン
      ロードを行う。
        インストール(というかコンパイル)の方法は以下の通り。
        まず、ソースファイルを適当なディレクトリに置いて、「端末」から、

           tar -zxvf c13.04.tar.gz [RET] --> ディレクトリ c13.04 が解凍される
           cd c13.04/source [RET]
           make [RET]

      これで c13.04/source/ に、実行ファイル cloudy.exe が出力されて完了。
        続いて、c13.04/source で、「端末から」、

           ./cloudy.exe [RET] --> [RET]の後、プロンプトが返って来ないが気にせず続けて、
           test [RET] --> やはり[RET]の後、プロンプトが返って来ないが気にしない。
           [RET]

      とすると、いろいろ表示されて、きちんと動いているか否かを確認できる。ちなみに、test 
      以外の文字を入力すると、エラーが出て止まってしまう。
        Cloudy の使用方法については、c13.04/docs に、QuickStart_c13.pdf、hazy1_c13.pdf、
      hazy2_c13.pdf などが用意されているので、これらを参照して欲しい。


    20) パーティション管理ツール GParted のインストール。
        別途USBメモリをデータ置き場としたい時などは、これを使ってメモリのパーティションを
      設定して、これを ext4 形式でフォーマットする。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search gparted [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install gparted [RET]  (+1,876 kB)

     で、インストールは完了。


    21) MS-Windows 用ソフトの動作環境を提供するツール Wine のインストール。
        研究には直結しないが、学生実習などでは MS-Windows を使用せざるを得ないことも多く、
      今後使用する可能性を考えてインストール。ただし、インストール後の各種設定(特に日本
      語フォントに関するもの)については、現在まで全く行っていない(笑)。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search wine [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install wine [RET] --> 「270 MB のディスク容量消費」に対して「y」で回答

     で、インストールは完了。


    22) グラフ描画ツール Ngraph のインストール。
        MS-Windows で愛用していたが、今更ながら Linux でも使ってみようとインストール。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search ngraph [RET] --> パッケージ ngraph-gtk の確認
           sudo apt-get install ngraph-gtk [RET] --> 「6,373 kB のディスク容量消費」に対して「y」で回答

     で、インストールは完了。


    23) キー操作矯正ツール(笑)SL のインストール。
        ちゃんと「ls」って入力しないと汽車が走ります(爆笑)。特にインストールしなくても
      研究は出来ると思います。

       「端末」から、

           sudo apt-cache search sl [RET] --> パッケージの確認
           sudo apt-get install sl [RET]

     で、インストールは完了。さぁ、汽車を走らせよう!


----- V. 各種ソフトウェアのアンインストール -----

      使うと思って apt-get を使ってインストールしたものの、やはり使わないなぁ、という場合、
    そのソフトウェアは、USB メモリの容量確保の意味でもアンインストールした方が良いだろう。
      Apt-get を使ってインストールしたなら、「端末」から以下のようにすればOK(らしい)。

        a) 指定したパッケージのみをアンインストールする場合は以下を実行。この場合は、
         インストール時に導入された依存関係のあるパッケージや設定ファイル(?)などは
         そのままとのこと。

           sudo apt-get remove {パッケージ名} [RET]

        b) 指定したパッケージに加えて、設定ファイル(?)も削除するには、以下を実行。
         しかし、インストール時に導入された依存関係のあるパッケージはそのままらしい。

           sudo apt-get purge {パッケージ名} [RET]
           
         なお、ubuntu では、

           sudo apt-get remove --purge {パッケージ名} [RET]

         でも良いらしい。

        c) 指定したパッケージだけでなく、設定ファイル(?)や依存関係にあるため、イン
         ストール時に導入されたパッケージまでもアンインストールするには、

           sudo apt-get autoremove {パッケージ名} [RET]

         を実行。ただし、オプション autoremove は、apt の 0.7系から使えるものらしい。古い
         バージョンでは使えないということか。

       結局、xpdf、wine を autoremove オプションでアンインストール。


----- VI. データ保存用 USB メモリの準備 -----

    最近は、32GB や 64GB という大容量の USB メモリも、そこそこの価格で入手できるように
     なってきた(その分、壊れたときの物理的・心理的ダメージも大きいけど。。。)。これらを
     丸ごと、データ置き場として用意すれば、Ubuntu システム用の USB メモリと、データ保存用
     の USB メモリの2本を携帯するだけで、ちょっとしたデータ解析環境を持ち歩くことができる
     ことになる。Knoppix を試していたときにも考えていたが、これはとても嬉しい状況である。
       まず、データ保存用 USB メモリを、PC に接続。USB メモリが自動的にシステムに mount 
     されると、後々エラーに出くわす可能性もあるので、注意して、umount しておく。umount する
     場合は、勿論、

           sudo umount /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)

     でOK。改めて、

           sudo fdisk /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)

     で fdisk を起動。

           「p」で USB メモリの領域を確認。
           「d」を必要に応じて繰り返して、USB メモリの全領域を削除。
           「n」-->「p」-->「1 (領域番号)」で領域を確保。セクタ番号は取れるだけ取るという
                ことで、「最初セクタ」「Lastセクタ」ともに初期値のままにした。
           「w」でパーティションテーブルを変更。USB メモリが mount されていると、この時に、
                エラーが出るようだ(当然と言えば当然か)。

       続いて、ext4形式で USB メモリをフォーマット。

            sudo mkfs.ext4 /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)
                --> 質問に対しては「Yes」でOK。
         32GB(USB 2.0対応)の USB メモリに対して、数分で終わった。

         FAT32形式でUSBメモリをフォーマットすれば、MS-Windows でもデータを共有できる。
       この場合は、

            sudo mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdc [RET] (「/dev/sdc」は USBメモリに対応して変えること)

       とすること。

         フォーマットが終わった USB メモリを一旦抜いて、再度、PC に挿入すると、自動的に認識、
       mount されて、無事 32GB のデータ保存領域が完成しましたと。
     64GB の USB メモリなら、さらに容量倍増。しかし、先日、2,3ヶ月前に作成した 64GB 
       USB メモリのデータ領域が、物理的に壊れました。。。解析途中のデータが全てパーになり
       ました。。。注意しましょう。USB メモリは、結局は消耗品です。。。


----- VII. USBメモリの容量節約の手順 -----

       しばらく ubuntu 12.10 を使っていると、/boot の容量不足という警告とともに、アップ
     デートが出来なくなることがある。これは、/boot 領域(必ずしも USB メモリや HDD その
     ものの容量不足と言う訳ではない)がいっぱいになってしまったために、この領域にアップ
     デートしたカーネルのイメージファイルなどが書き込めなくなったために起こるようだ。
       インターネットで調べた所、/boot に、古いバージョンのカーネルイメージが結構残され
     ており、これが /boot の容量を圧迫するのが原因のようである。従って、これらの幾つかを
     削除することで /boot に空きを作る、というのがベストの対処法のようだ。
       まず、現在使われているカーネルイメージをチェック。

            uname -a [RET]

     以下は、表示されたメッセージである。

                ***** ****** 3.5.0-41-generic #64-Ubuntu SMP Wed Sep 11 15:40:48 UTC 2013 i686 i686 i686 GNU/Linux ( * は伏字)

     つまり、現在使用しているカーネルイメージは「3.5.0-41-generic」とのことだ。
       続いて、インストールされているカーネルイメージを以下のようにチェック。

            dpkg --get-selections | grep linux-image [RET]

     以下が表示されたメッセージ。

                linux-image-3.5.0-17-generic        install
                linux-image-3.5.0-36-generic        install
                linux-image-3.5.0-40-generic        install
                linux-image-3.5.0-41-generic        install
                linux-image-extra-3.5.0-17-generic  install
                linux-image-extra-3.5.0-36-generic  install
                linux-image-extra-3.5.0-40-generic  install
                linux-image-extra-3.5.0-41-generic  install
                linux-image-generic                 install

       確かにいっぱいありますな。取り合えず、今使っている「3.5.0-41-generic」と一つ前の
     「3.5.0-40-generic」があればOKだろう、ということで、これら以外をアンインストール
     する。手順は以下の通り。

            sudo apt-get remove linux-image-3.5.0-17-generic [RET]
            sudo apt-get autoremove [RET]

            sudo apt-get remove linux-image-3.5.0-36-generic [RET]
            sudo apt-get autoremove [RET]

      これで確かに /boot 容量に関する警告は出なくなりました。
       まぁ、アップデートを続けていくと、そのうちまた不要なカーネルイメージが増えて、
     警告が出てくることになると思われます。


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Created: Mon Jun 17 12:58 JST 2013
Last modified: Sat Jan 23 12:50 JST 2021