(2006年09月07日 作成)

PEGASEのインストールと使い方



0.  PEGASE は Projet d'Etude des FAlaxies par Synthese Evolutive 
   (実際には多分フランス語[?])の略語で、Michel Fioc 氏が作成した、
   銀河SEDの化学進化計算コードである。
     本ページには PEGASE の入手方法とインストール、そして簡単な
   使用方法をメモしておく。

     なお、実際にPEGASEのインストールに成功した私の個人的な PC 環境
   は以下の通りである。

     CPU : Celeron 2.0GHz / Celeron 2.4GHz
     OS  : Vine Linux 2.6r4 (default)

     PEGASE: version 2

----- I. PEGASEの入手とインストール -----

1.1   PEGASEおよびFORTRANコンパイラの入手

     PEGASEのソースコードは、制作者であるFioc氏のホームページで公開・
   配布されている。氏のPEGASEページへは以下のURLでアクセス出来る。

           http://www2.iap.fr/users/fioc/PEGASE.html

   ここから、

           README_PEGASE.2 -------- readmeファイル
           PEGASE.2.tar.gz -------- PEGASE本体
           stellibLCBcor.tar.gz --- 恒星進化ライブラリ・ファイル

   の三つのファイルを適当なディレクトリにダウンロードする。
     なおFioc氏のPEGASEホームページは2006年09月07日現在、公開中である。

1.2   PEGASEソースコードのインストール

     PEGASEのソースコードはFORTRANで記述されているため、これをコンパイル
   するためには、FORTRANのコンパイラが必要である。もしもPEGASEを使用
   したいPC環境にFORTRANのコンパイラが導入されていなければ、別途これを
   入手して、インストールする必要がある。その場合にはこちらのページを参照
   してもらいたい。
     また PEGASE のインストールの際には、わざわざ root になる必要は
   なく、各ユーザーが(その権限内で)好きなディレクトリにインストール
   することができる。ダウンロードした *.tar.gz ファイルをどちらも解凍すると、
   PEGASE.2 というディレクトリ内に全てのファイルが展開されるようになって
   いる。なのでここでは、このPEGASE.2 にPEGASEをインストールすることにする。

           tar -zxvf PEGASE.2.tar.gz
           tar -zxvf stellibLCBcor.tar.gz

           cd PEGASE.2

           f77 calib.f -o calib
           f77 colors.f -o colors
           f77 spectra.f -o spectra
           f77 SSPs.f -o SSPs
           f77 scenarios.f -o scenarios

  これでディレクトリ PEGASE.2 への PEGASE のインストールが完了した。

----- II. PEGASEの使い方 -----

     まず最初に、異なる金属量に対する simple stellar populations のトラックを
   計算させる("SSPs"による)。続いて星生成史に関する条件を入力("scenarios"による)
   し、SEDsを計算・出力させる("spectra"による)。さらに必要であればSEDsをもとに
   して、カラー進化を計算させることもできる("colors"による)。

     cd PEGASE.2

     ./SSPs
          ---> Initial Mass Function を選ぶ。典型的なものはやはり Salpeter か?
          ---> 形成される stellar mass の lower と upper を決める。
               default値は"lower = 0.1 Ms、upper = 120 Ms"
          ---> II型超新星爆発のタイプを、Woosley & Weaver のモデルA,B,Cから選ぶ。
               defaultは"B model"。多分defaultでいいんだろう、きっと、勉強不足。
          ---> Stellar wind の有無を選択。defaultは"有"。普通は"有"でいいはず。
          ---> 出力されるファイル名の prefix を入力。お好きなものをどうぞ。ここでは、
               prefixとして"test"を使用することにする。prefixの入力後、simple stellar 
               population トラックの計算に入る。この計算に Celeron 2.4GHz + 768MB
               メモリのPCで8~9分かかったので、この時間を参考にして欲しい。
          ---> この計算によって以下のファイル、
                   test_SSPs.dat
                   test_tracksZ0.0001.dat
                   test_tracksZ0.0004.dat
                   test_tracksZ0.004.dat
                   test_tracksZ0.008.dat
                   test_tracksZ0.02.dat
                   test_tracksZ0.05.dat
                   test_tracksZ0.1.dat
             が出力される。

     ./scenarios
          ---> 次のステップでspectraに入力するデータファイル名(つまりこのscenariosの
               実行によって出力されるファイル名)を指定する。新しいファイル名を指定する
               のが良いとされている。ここでは"otameshi"と指定することにする。
                 このファイル中に、これ以降設定する starformation history に関連した
               諸条件が記録されていくことになる。
          ---> 使用する simple stellar populations のリストファイル名を入力する。
               ここでは先程作成された"test_SSPs.dat"を入力すれば良い。
          ---> 近接連星系の割合を0から1の間で入力する。default値は"0.05"。
          ---> この条件を次のステップでspectraに入力するが、それによって出力される最終
               的なSEDsデータファイルの名前を予めここで指定する。
               defaultでは"spectra1.dat"、ここで"end"を入力すると、未設定のまま終了して
               しまうので注意。
          ---> 時刻t=0におけるISMの金属量の質量比を0から1の間で入力する。
               default値は"0"。
          ---> Infallの有無を選択。defaultは"無"。
          ---> 星生成シナリオを選択する。defaultは"instantaneous burst"。
          ---> consistent evolution of the stellar metallicity ? defaultは"y"
          ---> substellar objects の質量比を0から1の間で指定する。defaultは"0"。
          ---> 銀河風の有無。defaultは"無"。いいのか"無"で?
          ---> Nebular emission の有無。defaultは"有"。"有"がPEGASEの売りではなかったか?
          ---> Global Extiction のパターンの選択。defaultは"No Extinction"
          ---> 新しいファイル名の入力を求めてくる。defaultでは"spectra2.dat"。ここで"end"を
               入力すれば、先程までの星生成史の1パターン分の設定が終了し、"otameshi"という
               ファイルが出力されている。他の星生成史のパターンも計算させたいのであれば、
               このまま次の条件設定を行えば良い。最終的に条件設定が終われば"end"を入力する。

     ./spectra
          ---> 星生成史を設定したファイルの名前を聞いてくるので、ここでは"otameshi"と入力
               すれば良い。入力終了後すぐにSEDsの計算が始まる。この作業に Celeron 2.4GHz 
               + 768MBメモリのPCで3分ほどかかった。この時間を参考にして欲しい。
          ---> これによって"spectra1.dat", "spectra2.dat", "spectra3.dat"...という名前の
               ファイルが作成され、この中に計算されたSEDsが記述されている。
          これで計算されるスペクトルは、波長がangstrom、フラックス密度がerg/s/angstrom/Msolで
          表されており、天体1太陽質量あたりのSEDとなっている、注意されたい。

     ./colors
          ---> 直前の作業までで出力されたスペクトルデータのファイル名を入力する。ここでは、
               "spectra1.dat", "spectra2.dat", "spectra3.dat"などに相当する。
          ---> カラー計算した結果を出力すべきファイル名のprefixを、お好みで入力する。
          ---> 計算は数秒程度で終わる。先程入力したprefix名のファイルが出力されている。

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Last modified: Sat Jan 23 13:55 JST 2021