(2011年01月04日 作成)

KNOPPIX5.3.1(CD-ROM版)をUSBメモリから起動してみた(2011年05月08日改題)



0.   以前のメモにも記したように、KNOPPIX(クノーピクス) とは CD-ROM や DVD-ROM から
   起動が可能な Debian ベースの Linux ディストリビューションである。基本的に作成された
   データは、RAM ディスク上に記録されるため、PC のシャットダウンによって、これらの全て
   は悉く消えてしまうことになる。ただし、実際には、それらのデータをハードディスクや
   フロッピーディスク、USB メモリなどに保持することも可能である。
     さらに、多少気付くのに遅れたが、PC-IRAF が Debian 上でも動くらしい、との情報を入手
   した。折角なので KNOPPIX を USB メモリから起動して、ここで PC-IRAF が使えないかを試みた。
   KNOPPIX は、一つ前の安定版で、ネット上の情報も豊富な version 5.3.1 を用いることとした。

     本稿は、PC-IRAF をインストールする前段階として、KNOPPIX 5.3.1 (CD-ROM版)そのものを USB 
   メモリにコピーすることで KNOPPIX が起動する USB メモリを作成する。これには、幾つかの方法
   があるが、本稿では、USB メモリを二つのパーティションに分割し、その一方に KNOPPIX のシス
   テムを、残りの一方をディスクイメージの保管場所とする方法を試みる。



      そして KNOPPIX 起動 USB メモリ作成に続いて、各種設定を施すための作業過程も記録しておく。

      また、USB メモリから KNOPPIX をブートするためには、a) PC の BIOS が USB ブートに対応して
    いること、かつ、b) PC の BIOS が USB からのブートを許容する設定になっていること、が必要で
    ある。BIOS 設定の方法はマザーボード(と言うかチップセット?)によって異なるので、ここでは
    これ以上の説明は行わない。

      いつの間にか項目が増えたので、メニューを追記(2011.05.02)
   
  (2011年01月26日追記)

      後日、さらに同バージョンのDVD-ROM版の USB メモリからの起動も試みた。使用したPCは
    上記と同じであるが、USB メモリは改めて 8 GB のものを購入して使用した。
      この時の記録は、本ページ IV を参照されたい。

         USB flash memory : KINGMAX 製 KD-01 8 GB ( USB 2.0 対応 )

         KNOPPIX: version 5.3.1(日本語 DVD-ROM 版)

   (2011年04月21日追記)

      さらに後日、他の 8 GB 容量の USB メモリや、16 GB 容量の USB メモリを用い、下記
    方法にて、KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)のインストールを試みたが、いずれも上手く行かなかった。
    USB メモリをPCに挿してブートしても、linux のイメージが無い、というエラーメッセージ
    や、もしくはモニターには全く何も表示されずに、そのまま何も進まない、などの状態が頻発
    した。
      ただし、mkbootdev を用いて、USB メモリにインストールした場合は、問題なく起動した。
    しかし、この方法では、「USB メモリをパーティションに分ける」ということが出来ないため、
    作業途中のデータを、同じ USB メモリ中に保存するということが出来なくなってしまう。
      いろいろ試行錯誤した結果、KNOPPIX をインストールする USB メモリのパーティションを、
    FAT32 では無く、ext3(ext2 は試していない)で初期化し、ブートローダーを syslinux では
    無く、extlinux にすることでブートすることに成功した。もしかすると、この原因は、大容量の 
    USBメモリへ KNOPPIX をインストールしようとしたからかも知れない(根拠レス)。
      この詳細は、本ページ V を参照されたい。

         PC     : NEC 製 デスクトップ PC , Express5800/110Gd
         CPU    : Celeron 2.4GHz
         Memory : 512 MB
         HDD    : 80GB (今回はあまり意味は無いけれど)

         USB flash memory : Transcend 製 JetFlash 600 --- TS16GJF600 ( 16 GB, USB 2.0 対応)

         KNOPPIX: version 5.3.1(日本語 DVD-ROM 版)

   (2011年05月02日追記)

      さらに上記の後、USB メモリを複数のパーティションに分け、その一つに KNOPPIX 5.3.1 
    をインストール(というか事実上コピー)し、他のパーティションに「継続的なディスクイメ
    ージ」を保存し、extlinux でブートするという方法を、幾つかの USB メモリと PC で試みたが、
    事実上ほとんどのケースで上手く行かなかった。何でやねん。
<--      KNOPPIX 5.3.1 の Root Shell から mkbootdev を立ち上げ、これを用いてブート USB メモリ
    を作成した場合は、ほぼ完璧に起動に成功している。しかし、mkbootdev では、事実上、USB 
    メモリは、全体を一つのパーティションと見做したインストールがなされるため、別の領域に
    「継続的なディスクイメージ」(ファイル名は knoppix.img となる)をつくることは出来ない。
    ただし、少しトリッキーな方法で、これを克服できそうなので、本ページⅥにメモを残しておく。-->


----- I. KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)の入手と起動 -----

     日本語版 KNOPPIX 5.3.1 の一つ前のバージョンは、DVD-ROM 版(version 5.3.1)と CD-ROM 版
   (version 5.1.1)がこちらから入手可能である。Version 5.3.1 の CD-ROM 版は無いように
   思えたが、いろいろと探ったところ、こちらから入手できることが分かった。そこでここから、
   バージョン 5.3.1(CD-ROM版)のCD イメージをダウンロードし、これを 700MB のCD-R に焼き
   込んで KNOPPIX のブート CD を作製した。

     KNOPPIX の CD からの起動は、非常に簡単である。ノートPCの BIOS 設定でブートの
   順番をハードディスクよりも光学ドライブの方を優先にしておくだけである。筆者のノート
   PCでは、2分くらいで X-Window まで立ち上がった。やはり MS-WindowsXP/2k に比べると、
   各段に起動時間が早いのが感動的である。画面上には幾つかアイコンが表示されているが、
   「ごみ箱」以外は、接続されている記憶領域( HDD とか USB メモリとか)のものだけだ。

----- II. KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版) のUSBメモリへのインストール -----

     KNOPPIX 5.3.1 のUSB メモリへのインストール方法には、様々な手段がある。筆者の独断と
   偏見で言うのであれば、大きく分けて a) USB メモリを複数のパーティションに分けて、その
   一つに KNOPPIX のファイルをコピーし、ブートローダーをインストールする方法、と b) 元々
   KNOPPIX 5.3.1 に用意されている mkbootdev を用いる方法、の二つがあり得る。前者であれば、
   USB メモリ上の一つのパーティションに KNOPPIX をインストールし、別のパーティションを
   データ置き場などにすることも出来るが、後者は、USB メモリ全体を一つのパーティションと
   して KNOPPIX をインストールすることが前提となっている。

     本項の実験に用いた PC 環境は以下の通りである。

         PC     : レノボ製 ノートPC, Lenovo 3000 V100 Notebook 0763-64J
         CPU    : Core Duo T2300E 1.66GHz(2MB)
         Memory : 1.0GB
         HDD    : 100GB (今回はあまり意味は無いけれど)

         USB flash memory : BUFFALO 製 RUF2-E 2.0GB ( USB 2.0対応 )

         KNOPPIX: version 5.3.1(日本語 CD-ROM 版)

2.1  USB メモリをパーティションに分けて KNOPPIX 5.3.1 (CD-ROM版)をインストール(syslinux編)

     最初に KNOPPIX 5.3.1 を CD-ROM から起動した後、USBメモリを挿入。この時、USBメモリを
   マウントしないように注意する(マウントしてしまったら、アンマウントすること)。
         1) 左下のペンギン・アイコンから「Root Shell」を選んで、ターミナルを起動。
         2) ターミナルから「fdisk /dev/sdb」と入力して fdisk を起動。
         3) 「d」でUSBメモリの領域を全て削除(必要があれば)。
         4) 「n」-->「p」-->「1(領域番号)」で KNOPPIX のシステムインストール用の領域を
            確保。シリンダ「1」から「401」を指定(400の根拠は特に無いが、なんとなくこれで 
            800 MB[CD-ROM1枚分強]くらいになるかなぁ、と...)。
         5) 「n」-->「p」-->「2」でデータ保存用の領域を確保。シリンダは「402」から「1018」
           (最後)で、残り全部を指定。
         6) 「t」-->「1」-->「c」でシステムインストール用のパーティションを FAT 32(LBA)
            に設定。
         7) 「t」-->「2」-->「b」でデータ保存用のパーティションを FAT 32 に設定。
         8) 「a」-->「1」でシステムインストール用のパーティションをアクティブ(bootフラグ
            をつける)にする。
         9) 「w」で設定をUSBメモリに書き込む。
        10) 「mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdb1」で、システムインストール用パーティションを 
            FAT 32 でフォーマット。
        11) 「mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdb2」でデータ保存用パーティションを FAT32 でフォ
            ーマット。以後、この USB メモリの領域を「データ保存用領域」と呼ぶことにする。
        12) 「mount /dev/sdb1 /media/sdb1」で、システムインストール用領域をシステムにマウント。
        13) 「mkdir /media/sdb1/KNOPPIX」で USB メモリ上にディレクトリを作成。何故かディレ
            クトリ名が小文字になってしまうが気にしなくていいらしい。
        14) 「cp -R /cdrom/KNOPPIX/* /media/sdb1/knoppix/.」で CD-ROM から USB メモリに CD-
            ROM の KNOPPIX ディレクトリ内の全ファイルをコピー。
        15) 「cp -R /cdrom/boot/isolinux/* /media/sdb1/.」で起動に必要なファイルを USB メモリ
            にコピー。
        16) 「mv /media/sdb1/isolinux.cfg /media/sdb1/syslinux.cfg」でファイル名変更。
        17) 「syslinux /dev/sdb1」でブートローダーをインストール。

     これで完了。後は、USBメモリを挿入した状態でノートPCを起動。KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)は
   ちゃんと USB メモリから起動しました。ネット上での情報をいろいろと調べてみると、USBメモリ
   との相性によっては、起動しない場合もあるらしい。今回使ったメモリは、相性が良かった(と言うか
   悪くなかった)と言うことか。

2.2  USB メモリをパーティションに分けて KNOPPIX 5.3.1 (CD-ROM版)をインストール(extlinux編)

     前項では、USB メモリのパーティションを FAT32 でフォーマットし、syslinux でブートする、と
   いう方法だったが、EXT3 でフォーマットし、extlinux でブートする、ということもできる。作業は
   ほとんど同じだが、6)、10)、16)、17) が少し異なる。

         1) 左下のペンギン・アイコンから「Root Shell」を選んで、ターミナルを起動。
         2) ターミナルから「fdisk /dev/sdb」と入力して fdisk を起動。
         3) 「d」でUSBメモリの領域を全て削除(必要があれば)。
         4) 「n」-->「p」-->「1(領域番号)」で KNOPPIX のシステムインストール用の領域を
            確保。シリンダ「1」から「401」を指定(400の根拠は特に無いが、なんとなくこれで 
            800 MB[CD-ROM1枚分強]くらいになるかなぁ、と...)。
         5) 「n」-->「p」-->「2」でデータ保存用の領域を確保。シリンダは「402」から「1018」
           (最後)で、残り全部を指定。
         6) システムインストール用のパーティションは「linux」のままでOK。
         7) 「t」-->「2」-->「b」でデータ保存用のパーティションを FAT 32 に設定。
         8) 「a」-->「1」でシステムインストール用のパーティションをアクティブ(bootフラグ
            をつける)にする。
         9) 「w」で設定をUSBメモリに書き込む。
        10) 「mke2fs -j -c /dev/sdb1」で、システムインストール用パーティションを EXT3 でフォー
            マット。
        11) 「mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdb2」でデータ保存用パーティションを FAT32 でフォ
            ーマット。以後、この USB メモリの領域を「データ保存用領域」と呼ぶことにする。
        12) 「mount /dev/sdb1 /media/sdb1」で、システムインストール用領域をシステムにマウント。
        13) 「mkdir /media/sdb1/KNOPPIX」で USB メモリ上にディレクトリを作成。
        14) 「cp -R /cdrom/KNOPPIX/* /media/sdb1/knoppix/.」で CD-ROM から USB メモリに CD-
            ROM の KNOPPIX ディレクトリ内の全ファイルをコピー。
        15) 「cp -R /cdrom/boot/isolinux/* /media/sdb1/.」で起動に必要なファイルを USB メモリ
            にコピー。
        16) 「mv /media/sdb1/isolinux.cfg /media/sdb1/extlinux.conf」でファイル名変更。
        17) 「extlinux -i /media/sdb1」でブートローダーをインストール。

     この方法でも、無事、USB メモリから KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)が起動しました、と。

   (2011年05月08日追記)KINGMAX 製 U-Drive KD-01 8GB を用いて、上記 4), 5) に相当する箇所で、
   シリンダ 1-103(dev/sdb1)、104-1022(/dev/sdb2)とし、/dev/sdb1 をシステムインストール用
   として作成した。ブートローダーは syslinux と extlinux の両方を試したが、どちらでも、問題
   無く USB メモリから KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)が起動した。
     ところが、SILICON POWER 製 Ultima II I-Series SP004GBUF2M01V1K(4GB) を用いて、上記 4), 5) 
   に相当する箇所でシリンダ 1-204(/dev/sdb1)、205-1018(/dev/sdb2)とし、/dev/sdb1 をシステム
   インストール用として作成したが、USB メモリからブートさせても、いつまでたっても画面は真っ暗で、
   起動しない。それでいて、何のエラーメッセージも表示されないという事態が生じた。ブートローダー
   は、syslinux でも extlinux でも同様の結果であった。
     これらはやはり、相性の問題か?

2.2  USB メモリをパーティションに分けて KNOPPIX 5.3.1 (CD-ROM版)をインストール(その2)

   筆者が成功した方法は、mkbootdev を用いる方法である。手順は以下の通り。
     1) 左下のペンギン・アイコンから「Root Shell」を選んで、ターミナルを起動。
     2) ターミナルから「mkbootdev &」と入力して、mkbootdev の GUI を起動。
     3) 「B: Create system on USB storage using a FAT 32 partiton」を選択。
     4) インストール先の USB メモリを指定。
   あとは、作業が終了するのを待つばかり。
     作業が無事に終われば「SUCCESS!」とメッセージが出る。
  
     USBメモリから起動するには、ノートPCの BIOS で、USB メモリからの起動の優先性を、
   さらに光学ドライブより高く設定した上で、改めて USBメモリを挿入してブート。筆者の
   ノートPCでは1分45秒ほどで X-Window まで立ち上がった。

1.3  KNOPPIX 5.3.1 のUSBメモリへのインストール(ちょっと凝った版)

     USBメモリをパーティションに分けて、その一部に KNOPPIX をインストール、残りの
   パーティションに KNOPPIX の設定やデータを保存できるようにしてみた。



----- II. USB メモリへの作業内容の保存 -----

     KNOPPIX はできる限り最小のサイズ・負荷で OS を起動させている。そのため、当然のこと
   ながら、USB にインストール(というかコピー)した直後には、理数系の様々な局面で使用
   されるようなソフトウェアの多くは、インストールされていない状態である(もっと容量が
   大きな USB メモリに、KNOPPIX 5.3.1[DVD版] をインストールした場合なら、その限りでは
   ないかも知れない)。従って、自分のお好みに合わせて、いろいろなツールをインストールし、
   設定しなければならない。
     なお、そのためには、様々なソースやバイナリをネット経由でダウンロードしなければなら
   ないが、これらのファイルはマメに「データ保存用領域」に保存しておこう。万が一、途中で
   熱暴走などして、PCをリブートすることになってしまったら、折角のダウンロードが無駄に
   なってしまう。

     また、USB メモリ上の「データ保存用領域」や HDD 上に、予めディスク・イメージを保存
   するためのファイル(knoppix.img という名称になるようだ)を用意することで、新たにアプリ
   ケーションをインストールしたり、ホーム・ディレクトリにデータを作成した場合、逐次その
   状況が保存されていくようになる。つまり、次回起動時に、このディスクイメージを指定する
   ことで、終了直前の状況から作業を再開することができる訳だ。
     ディスク・イメージの作成手順は以下の通り。
     1) 左下のペンギン・アイコンから「Configure」-->「継続的なKNOPPIXディスクイメージの
        作成」を選択。
     2) 「yes」--> USB メモリに確保した保存用領域をチェックして「ok」--> (先に保存した
        ディスクイメージ[Knoppix.img]があると指摘された場合は更新「ok」)--> 長いパスワード
        を設定したくないので「no」--> サイズに「1000」MB を指定して「ok」(1000MBという
        サイズに、特に深い意味はないが、今回確保した「データ保存用領域」の明きほぼ一杯)
     3) 数分ばかり作業に時間がかかるが、それを待って作成完了。

     前述したように、ここで作成したディスク・イメージには、アプリケーションのインストール
   やデータの作成などが行われる度に、その情報の書き込みが行われる。KNOPPIX の再起動時に、
   boot プロンプトから、
           knoppix home=/dev/sdb2 (このデバイス名は、状況に応じて変わることに注意)
   または、
           knoppix home=scan
   とすれば、そのイメージを読み込んだ上で起動してくれる。なお、起動の途中で質問される
   ことがあるが、そのまま20秒以内に「OK」で問題なく起動、作業再開が可能となる。

     実は、恥ずかしい話、筆者は当初この機能を、保存したい局面で、「Configure-->継続的な...」
   を実行するものと勘違いしていた。あくまで、予めディスク・イメージを用意し、状況の保存は
   逐次なのである。


----- III. KNOPPIX 5.3.1 実用への各種設定 -----

3.1  インストール済みのアプリケーション

     ちらりと試したところ、

         gcc
         ssh 

   はデフォルトで使用できるようだ。
     インターネット・ブラウザとしては、

         iceweasel 

   が使用可能。ただし、ネットワーク環境によっては、プロクシ・サーバーやポート番号の
   設定が必要となるだろう。
     オフィス・スィートとしては、

         Open.Office.org 2.3

   がデフォルトで使用可能、これは結構いいかも知れない。

3.2  csh の入手とインストール

     KNOPPIX 5.3.1 にはデフォルトでは、csh は入っていないようだ。X11 IRAF や PC-IRAF 
   のインストール・スクリプトは csh で書かれているため、後々のことを考えると、まずは 
   csh をイストールしておかねばなるまい。
     ネット上を探した所、Debian 用のバイナリ・ファイル csh_20070713-1_i386.deb を、
   ここからダウンロードすることができた。
     これをインストールするには、
     1) 左下のペンギン・アイコンから「Root Shell」を選んでターミナルを起動。
     2) ターミナルから「dpkg --install csh_20070713-1_i386.deb」と入力すればOK。
   特にエラーメッセージなどが出て来なければ、無事インストール完了。

3.3  tcsh の入手とインストール

     どのシェルがお好みかは、人によるだろう。csh のついでに tcsh の入手方法とインスト
   ールについても記しておく。実は google で「debian tcsh download」をキーワードに検索
   したら、一発でダウンロードサイトが引っ掛かった。ここから<バージョン 6.14.00-7 の
     ファイル tcsh_6.14.00-7_i386.deb をダウンロード。
     1) 左下のペンギン・アイコンから「Root Shell」を選んでターミナルを起動。
     2) ターミナルから「dpkg --install tcsh_6.14.00-7_i386.deb」でOK。

3.4  FORTRAN コンパイラ gfortran の入手とインストール

     今回、USB メモリから KNOPPIX を起動させてみようという気になった理由の一つが、
   学部生に対する C や awk などのプログラミング実習である。前述したように、gcc は
   デフォルトでインストールされているのだが、これに FORTRAN のコンパイラがあれば、
   銀河の化学進化モデルの計算ソフトである PEGASE を走らせることができる。しかし、
   さすがに、g77 や f77 はインストールされていないようだ。
     そこで FORTRAN のコンパイラをインストールすることにした。簡単に検索をかけてみた
   が、Debian 用の f77 や g77 は引っ掛からなかった。ペンギンの杜で調べた所、gfortran 
   という FORTRAN 95 のコンパイラが見つかった(その道の人からすれば、gfortran も知らん
   のか、と思われるんだろうなぁ)。そこで、このペンギンの杜の gfortran 紹介ページから
   辿って、gfortran と、そのインストールに必要なファイルを捜索・ダウンロードした。
     gfortran のバージョンは 4.3 で、必要なファイルは以下の 11 個。

        gfortran_4.3.2-2_i386.deb
        gfortran-4.3_4.3.2-1.1_i386.deb
        cpp_4.3.2-2_i386.deb
        cpp-4.3_4.3.2-1.1_i386.deb
        gcc_4.3.2-2_i386.deb
        gcc-4.3_4.3.2-1.1_i386.deb
        gcc-4.3-base_4.3.2-1.1_i386.deb
        libgfortran3_4.3.2-1.1_i386.deb
        libgcc1_4.3.2-1.1_i386.deb
        libgomp1_4.3.2-1.1_i386.deb
        libmpfr1ldbl_2.3.1.dfsg.1-2_i386.deb

     これらを、「dpkg --install xxx.deb yyy.deb zzz.deb www.deb .... aaa.deb」と 11 個
   同時に指定して実行すれば、依存関係をクリアした上で、きちんとインストールされる。
     まぁ、実際には想像の通り、筆者はまず gfortran_4.3.2-2_i386.deb 一つのインストール
   から初めて、エラーと共に表示される依存関係のあるファイルを一つ一つ探して、最終的に
   何とかインストール成功に漕ぎ着けた。何と非効率的な作業!(笑)
     apt-get なら、あっと言う間にインストールが完了したんだろうなぁ。

     折角なので PEGASE のソースもダウンロードして「f95 xxxx.f -o xxxx」と試した所、無事、
   全てのソースがコンパイルされた。実行までは試していないが、多分大丈夫だろう。

3.5  gnuplot の入手とインストール

     自然科学の研究で Linux PC を使う場合、gnuplot の存在は無視できない。apt-get に
   よる gnuplot のインストールは極めて簡単であるため、記録は不要だろう。実は、本学は
   ネットワークの設定が厳しく制限されており、筆者の環境では、apt-get が使えない(涙)
   接続設定変更の手続きを取ればいいのだが、ついつい面倒に感じてやっていない。そこで、
   apt-get は使わずに、互いに依存関係にある多くのファイルをダウンロードし、それらを
   インストールする方法をメモして置く。gfortran 同様、大変でした。
     gnuplot のバージョンは 4.2.2 で、必要なファイルは以下の 12 個中 11 個である。と、
   言うのも、libgd2-noxpm_2.0.36~rc1~dfsg-3+lenny1_i386.deb とlibgd2-xpm_2.0.36~rc1~dfsg
   -3+lenny1_i386.deb は、どちらか一方があればOKで、両方とも指定すると、パッケージが
   競合すると言われてエラーとなるためである。また、gnuplot-doc_4.2.2-1.2_all.deb だけは、
   単独でインストールできる。考えてみれば、ドキュメントだから当たり前か。

         gnuplot_4.2.2-1.2_all.deb
         gnuplot-nox_4.2.2-1.2_i386.deb
         gnuplot-x11_4.2.2-1.2_i386.deb
         gnuplot-doc_4.2.2-1.2_all.deb
         libgd2-noxpm_2.0.36~rc1~dfsg-3+lenny1_i386.deb
         libgd2-xpm_2.0.36~rc1~dfsg-3+lenny1_i386.deb
         libcairo2_1.6.4-7_i386.deb
         libpango1.0-0_1.20.5-6_i386.deb
         libpango1.0-common_1.20.5-6_all.deb
         libpixman-1-0_0.10.0-2_i386.deb
         libxcb-render-util0_0.2.1+git1-1_i386.deb
         libxcb-render0_1.1-1.2_i386.deb

     これらは、頑張ってネットを廻っても手に入るとは思うが、gfortran 同様、ペンギンの杜の
   gnuplot 紹介ページの Debian パッケージという部分から辿って入手した。
     これらを、「dpkg --install xxx.deb yyy.deb zzz.deb www.deb .... aaa.deb」と 12 個
   同時に指定して実行すれば、依存関係をクリアした上で、きちんとインストールされる。

     試しに適当なターミナルから「gnuplot」でエラー無く起動。「gnuplot > plot x+sin(x)」で、
   無事曲線が描画され、インストールの成功が確認できた。


----- IV. KNOPPIX 5.3.1 DVD版 の USB メモリからの起動 (2011年01月26日追記) -----

     ここまで来て、ふと考えた、「もしかしたら DVD-ROM 版ならば、わざわざアプリケーション
   のダウンロードやインストールをしなくても良いのではなかろうか?」 かくして、CD-ROM版と
   同様にこのページから、DVD-ROM版のイメージをダウンロード、手元で DVD に焼き込み、これで
   ノートパソコンをブートしてみた。
     X-Windows の起動完了まで2分ちょいほど。問題なく立ち上がった。
     早速、メニューをいろいろと覗いてみたり、左下端のアイコンから「システム」-->
  「Konsole-ターミナルプログラム」としてターミナルを起動、何が使えるのか思いつくままに
   アプリケーション名を入力して試してみた。西浦クンが気になるもの限定で、メニューや
   コマンドラインからすぐに使えるのは、だいたい次のような感じ。

         シェル関係 ----------- bash (ログイン時のデフォルト), csh
         ネットワーク関係 ----- telnet, ftp, rlogin, ssh, scp
         ターミナル ----------- xterm, kterm
         ネットブラウザ ------- iceape 1.1.8
         テキストエディタ ----- Emacs 21.4.1
         グラフィック関係 ----- GIMP 2.4.5, gnuplot version 4.2, gv 3.6.3, xpdf
         オフィス・スィート --- Open.Office.org 2.3.1
         コンパイラ関係 ------- gcc, g77, f95
         組版関係 ------------- tex version 3.141592, latex version 3.141592-1.40.3, 
                                xdvi, dvips(k) 5.96.1, dvipdf, ps2pdf
         数理関係 ------------- wxMaxima 0.7.1

     CD-ROM 版を USB メモリから起動して、いろいろとダウンロード&インストールしたのは
   何だったのか...そこで、8 GB の USB メモリに KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)をインストール
   した。基本的には前述した CD-ROM 版と同じであるが、USB メモリの、 KNOPPIX をインス
   トールする領域の確保と、「継続的な KNOPPIX のディスクイメージ」保存のための領域を
   確保する際のシリンダ数が異なる。
     今回の USB メモリでは、KNOPPIX のインストール領域は 1 ~ +4700M(この場合、1-599 
   のシリンダ数で領域が確保された)、ディスクイメージ保存のための領域は 600 ~ 1024
   (一番最後のシリンダ数)で確保した。
     CD-ROM 版の時もそうだったが、USB メモリ上のディスクイメージ保存用の領域は、パーミ
   ションを変えて、誰でも書き込めるようにしても、どうも直ぐには反映されないようで、
   読み出しだけだよ、と怒られてしまう。そのためだと思うがディスクイメージの保存時に、
   この領域(筆者の場合 /dev/sdb2)が選択できないのだ。結局、リブートしたものの、
   パーミションは変更できず、ところがディスクイメージの保存を試みると、何と今度は /dev/
   sdb2 が選択できるではないか?!なんでやねん。ディスクイメージの保存は問題なく完了。
     その後は、/dev/sdb2 は、問題なく書き込み可能な状態になった...何故???
     まぁ、良しとしよう。
     個人的にインストールが必要なのは、天文画像解析用の各種ツールですな。

  (注意) 後日、他の 8 GB USB メモリや、16 GB の USB メモリでは、悉くこの方法で失敗
       した。根拠は無いのだが、どうやらこの方法では 8 GB 以上の USB メモリでは上手く
       行かないのかもしれない。


----- V. KNOPPIX 5.3.1 DVD 版 の USB メモリからの起動 ~ extlinux 版 (2011年04月21日追記) -----

     16 GB の USB メモリをパーティションに分け、そのうちの一つから KNOPPIX 5.3.1 DVD 版を
   起動しようと、いろいろとネットの情報を探しまくり、試行錯誤した結果、取り合えず成功した
   ようなので、記録しておく。
     まずは光学ドライブに KNOPPIX 5.3.1 の DVD を挿入して PC を起動し、KNOPPIX 5.3.1 を立ち
   上げる。USB ポートに 16 GB の USB メモリを挿す。デスクトップ左下の「ペンギンアイコン」
   から、「Root Shell」から root 権限で端末を起動。ここから以下のように作業をした。

         fdisk /dev/sdb (<-- ここでは sdb は USB メモリを意味する)
             取り合えず「d」で過去に作った領域を削除。
             「n」「p」「1」、そしてシリンダ番号 1 から +4700M で DVD 一枚分の領域を確保。
             「n」「p」「2」、そして残り全てでデータ保存用の領域を確保。
             「t」「2」「b」でデータ保存用領域に FAT 32 をラベル(VIでは「c」としてたが...)。
             インストール用に確保した領域は、「linux」のままでOK。
             「a」「1」でインストール用の領域をアクティブにする。
             「w」で設定を書き込み、fdisk を終了。
         mke2fs -j -c /dev/sdb1 でインストール用領域を ext3 でフォーマット。
         mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sdb2 でデータ保存用領域を FAT 32 でフォーマット。
         mount /dev/sdb1 /media/sdb1 でインストール用領域をマウント。
         mkdir /media/sdb1/KNOPPIX で KNOPPIX の DVD の中身をコピーするディレクトリを作成。
         cp -R /cdrom/KNOPPIX/* /media/sdb1/KNOPPIX/. で KNOPPIX の DVD の中身をコピー。
         cp -R /cdrom/boot/isolinux/* /media/sdb1/. でブートに必要なファイル一式をコピー。
         mv /media/sdb1/isolinux.cfg /media/sdb1/extlinux.conf と設定ファイルの名称を変更。
         extlinux -i /media/sdb1 でブートローダをインストール。

   これで完成。
     一旦、KNOPPIX をシャットダウンし、DVD を取り出して、改めて USB メモリからブート。無事、
   KNOPPIX 5.3.1 が立ち上がりました。まずは成功。

   (注意) この方法で USB メモリから KNOPPIX 5.3.1 をブートしつつ、同じメモリの異なるパーティ
   ションに「継続的なディスクイメージ」を保存することが完全に可能になったかと思えたが、後日、
   他の幾つかの USB メモリで同様のことを試したところ、再現せず。(T_T)




----- Appendix. IRAF-KNOPPIX の入手と起動 -----

     今回の作業中、KNOPPIX 5.1.1 に IRAF v2.11 をバンドルした IRAF-KNOPPIX なるものが
   存在することが分かった。興味のある方は、こちらから CD イメージをダウンロードできるので、
   試して欲しい。イメージの焼き込みには、700MB の CD-R で十分である。
     筆者は、CD イメージをダウンロード後、起動 CD を作成した。これを今回の実験で使っている
   ノートPCでブートした所、問題なく KNOPPIX が立ち上がった。壁紙がカラフルな天体画像に
   設定されており、デスクトップには、IRAF や DS9 を立ち上げるためのアイコンが沢山並んでいる。
     IRAF と DS9 を立ち上げて、「display dev$pix 1」と入力すると、DS9 上にサンプル画像で
   見慣れた M51 が表示された。当たり前のことだが、ちょっと楽しい気分。
     ちなみに、バージョンは未確認だが、gnuplot もインストール済みである。


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Created: Tue Jan 04 17:55 JST 2011
Last modified: Sat Jan 23 13:30 JST 2021