(2011年01月12日 作成)

KNOPPIX6.0.1/6.4.4をUSBメモリから起動してみた
(2011年05月09日改題:2011年05月20日更新)



0.   KNOPPIX(クノーピクス) とは CD-ROM や DVD-ROM から起動が可能な Debian ベースの 
   Linux ディストリビューションである。元々はドイツのKlaus Knopper 氏が開発したもの
   であり、ハードディスクに OS をインストールすること無しに、そしてハードディスクに
   変更を加えること無しに Linux 環境を提供できることが大きな特徴である。従って、既に
   MS-Windows や他の Linux ディストリビューションなどの OS がインストールされたPC
   であっても、KNOPPIX の起動 CD(もしくは起動 USB メモリなど)を挿入して再立ち上げ
   することで、容易に Linux 環境を手にすることができる訳だ。ただし、その反面、作成
   された情報は、RAM ディスク上に記録されるため、基本的には PC のシャットダウンに
   よって、これらの全ては消えてしまうことになる。実際には、ハードディスクやフロッピー
   ディスク、USB メモリなどに記録して保持することも可能である。
     当然のことながら、KNOPPIX は、他の多くの Linux ディストリビューション同様に、
   無償で入手が可能であり、Debian をベースにしているため、Debian 用アプリケーションを
   追加インストールすることも可能である。特に日本語版は、独立行政法人産業技術総合研究所
   が開発・配布を行っている。最近では CD-ROM 版に加えて、アプリケーションの量を増や
   した DVD-ROM 版も配布されている。なお、2011年01月12日現在、日本語版の最新版は、
   CD-ROM 版が 6.0.1、DVD-ROM 版が 6.2 である。
     うまく行けば、KNOPPIX の起動 USB メモリを量産(?)することで、うちのような
   超弱小研究室のPC演習・実習などで、ある瞬間にだけ多くの Linux PC が必要となる
   ような局面でも、非常に心強いシステムとなるだろう。

   (メニュー)
   

----- I. KNOPPIX6.0.1の入手・起動CD-ROMの作成とUSBメモリへのインストール -----

     本項の作業は、以下のPC環境下で行った。

         PC     : レノボ製 ノートPC, Lenovo 3000 V100 Notebook 0763-64J
         CPU    : Core Duo T2300E 1.66GHz(2MB)
         Memory : 1.0GB
         HDD    : 100GB (今回はあまり意味は無いけれど)

         USB flash memory : BUFFALO 製 RUF2-E 2.0GB ( USB 2.0対応 )

         KNOPPIX: version 6.0.1(日本語 CD-ROM 版)

1.1  KNOPPIX 6.0.1 の入手方法

     KNOPPIXの日本語版は、前述したように、独立行政法人産業技術総合研究所から、最新の 
   DVD-ROM 版(version 6.2)と CD-ROM 版(version 6.0.1)が入手可能である。
     ここから KNOPPIX version 6.0.1(CD-ROM 版)の CD イメージをダウンロードし、
   これを 700MB CD-R に焼き込んでブート CD を作製した。

1.2  KNOPPIX 6.0.1 の起動とUSBメモリへのインストール

     起動は非常に簡単。ノートPCの BIOS 設定でブートの順番をハードディスクよりも
   光学ドライブの方を優先にしておけばOK。筆者のノートPCでは、1分30秒程度で 
   X-Window まで立ち上がった。この速さは、MS-Windows シリーズの起動の遅さを痛感して
   いる身としては、感動の極みである! ちなみに立ち上がった X-Window 上には、「マイ
   ドキュメント」のアイコンが一つ置かれているだけで、結構寂しい。そう言えば MS-
   WindowsXPでも「ごみ箱」のアイコン一つ、とかいうことがあったように思う。

     USB メモリへのインストールも簡単で、左下隅のスタート(?)から「システムツール」
   -->「install KNOPPIX to flash disk」と辿り、インストールしたい USB メモリを選べば、
   楽々インストールできる。筆者も簡単に USB メモリにインストールし、起動できることを
   確認した。

     ただ、インターネット上の情報をいろいろと調べてみると、KNOPPIX 6.0.1(もしくは 6.2)
   の情報は、現状ではまだ少な目のようで、当たり前だが、一つ前の version 5.3.1 の情報は
   結構充実しているようである。
     そこで、筆者も USB メモリからの KNOPPIX 6.0.1 の起動実験はここまでとし、改めて、
   version 5.3.1 による起動実験と設定を行うことにした。やがて 6.0.1 の情報が充実し、
   本記録が大きな役割を果たさんことを期待したい(笑)。


----- II. KNOPPIX6.4.4の入手・起動DVD-ROMの作成とUSBメモリへのインストール(2011年05月09日追記) -----

     日経LINUX 2011年5月号の付録に KNOPPIX 6.4.4 日本語 DVD-ROM 版が付いてきた。バージョン
   がアップしたようだ。ならば、WEBページ上から iso ファイルを拾わねばなるまい(付録の 
   DVD を使えば良いはずだが、ついつい自分で iso のダウンロードから始めてしまう。。。)。
     今回は DVD-ROM 版ではなく、同じサイトからダウンロードした CD-ROM 版を試してみた。

     本項での作業は、以下のPC環境下で行った。

         PC     : NEC 製 デスクトップ PC , Express5800/110Gd
         CPU    : Celeron 2.4GHz
         Memory : 512 MB
         HDD    : 80GB (今回はあまり意味は無いけれど)

         USB flash memory : BUFFALO 製 RUF2-E 2.0GB (2GB : USB 2.0対応 )

         KNOPPIX: version 6.4.4(日本語 CD-ROM 版)

2.1  KNOPPIX 6.4.4 の入手方法

     KNOPPIXの日本語版は、前述したように、独立行政法人産業技術総合研究所から、最新バージョン 
   6.4.4 の DVD-ROM 版と CD-ROM 版が入手可能である。ただ、実際には、産総研のWEBページがえらく
   重かったので、こちらのページから CD-ROM 版の iso イメージをダウンロードし、これらを 
     CD-R に焼き込むことで、ブート CD を作製した。

2.2  KNOPPIX 6.4.4 の起動とUSBメモリへのインストール

     KNOPPIX 6.0.1 同様に、起動は非常に簡単である。もはや説明は不要だろう。
     KNOPPIX 5.3.1 の起動画面は、カラフルなメッセージが整然と表示され、妙に洗練された感じ
   であった(あくまで当社比です[笑])が、KNOPPIX 6.4.4 では、色調・メッセージの表示方法
   ともに、何とも無骨なものに逆戻りしたように思えた。
     PCのスイッチを入れてから、X-Window が起動するまでの時間が 90 秒。はえーーー。
     立ち上がり直後のデスクトップ画面は、アイコンが二つで、やはり寂しいものの、壁紙が派手(?)
   な分、多少、寂しい気持ちが緩和されているような気もする(所詮、著者の主観である)。

     USB メモリへのインストールも KNOPPIX 6.0.1 同様に簡単で、左下隅のスタート(?)から
  「設定」-->「install KNOPPIX to flash disk」と辿り、表示されたデバイスの中から、インス
   トールしたい USB メモリを選べばOK。筆者も簡単に USB メモリにインストールし、さらに、
   USB メモリから起動できることを確認した。
     ただし、バージョン 6.0.1 や 5.3.1 の mkbootdev 同様に、USB メモリ全体を一つのパーティ
   ションとすることが前提であり、USB メモリを予め複数のパーティションに分け、その任意の領域
   へインストールする、という訳にはいかないようだ。残念。

     取り合えずインストールされているものを確認してみた。個人的に「インストールされてると
   いいなぁ」と思うアプリケーションなどについては、

         シェル                  : bash, sh
         インターネット・ブラウザ: iceweasel
         オフィス・スィート      : Libre Office 3
         ペイントツール          : GIMP 2.6
         文章組版                : tex, latex
         グラフ描画              : gnuplot version 4.4
         Cコンパイラ            : gcc
         Fortranコンパイラ       : 無し(f77, f95, g77, gfortran などは未インストール)
         他                      : ssh, slogin, scp, telnet

   という感じになってました。

     また、他の USB メモリに対するインストールも試してみた。具体的には以下のような感じ。

         ・SILICON POWER 製 Ultima II I-Series SP004GBUF2M01V1K (4GB: USB 2.0 対応)
             ----> 無事、KNOPPIX 6.4.4( CD-ROM 版)が起動。

         ・KINGMAX 製 KD-01 8GB (8GB : USB 2.0 対応)
             ----> 基本的には KNOPPIX 6.4.4( CD-ROM 版)が起動するが、時々、インストール
                   成功と表示されながらも、ブートしない、という現象が生じる。CD-ROM から
                   立ち上げて、もう一度インストール作業をしたら、きちんと起動した。

         ・PQI 製 Traveling Disk Series U273 ((GB : USB 2.0 対応)
             ----> 無事、KNOPPIX 6.4.4( CD-ROM 版)が起動。

         ・Transcend 製 JetFlash 600 TS16GJF600 (16GB: USB 2.0 対応)
             ----> インストール中、謎のメッセージ(?)を吐いてフリーズ。結局、何度か試
                   したものの、インストールできなかった。ファイル転送の段階で、USB メモリ
                   にコピーしようとして不具合が生じたようである。原因不明です。
                     本ページ「I」のノートPC上でも、同様の現象が再現し、インストール
                   できなかった。

     何度やってもインストールできないことがある反面、一旦は失敗しても、やり直せば問題なく
   インストールできることもあるようだ。この辺りがUSB メモリとの相性なのだろう、きっと。

2.3  USB メモリへのデータの保存

     KNOPPIX 5.3.1 では、作成したデータを保存するために、「継続的な KNOPPIX ディスクイメージ
   の作成」を行い、knoppix.img というデータ保存用のディスクイメージファイルを HDD や別の USB 
   メモリ内に作成したが、バージョン 6.4.4 では、この作業は廃止されたらしい。確かに、メニューの
   どこを探しても、ディスクイメージの作成に該当するような事項が見当たらない。どうやら「install 
   KNOPPIX to flash disk を使って USB メモリに KNOPPIX 6.4.4 をインストールした場合、この USB 
   メモリから 起動させると、自動的に ディスクイメージファイルを作るかどうかを訊いてくるように
   なったらしい。へぇ~~~。
     と言う事なので、早速、やってみる。USB メモリを差した状態で( CD や DVD は取り出した状態で)
   PCをブート。KNOPPIX 6.4.4 の起動画面になる。しばらくすると、

         "No file for saving personal data has been created on this device yet. If you 
          wish to do so now, please enter desired size in MB (minimum 200, free: 3889). 
          If you don't want to create a file for saving right now, just leave the field 
          empty."

   要するに、

        「この装置の中には、個人的なデータを保存するためのファイルが、まだ作られていま
          せん。もしも、今直ぐにそれを望むなら、メガバイト単位で希望するサイズ(最小は、
          200メガバイト、空き容量は 3889 メガバイト)を入力して下さい。もし今直ぐには、
          保存用ファイルを作りたくないのであれば、欄は未入力のままにしておいて下さい」

   と言うメッセージが現れる。この下に数字を入力できるようになっているので、ここに、データ保存用
   のディスクイメージとして、欲しい容量をメガバイト単位で入力。さらにその下に「OK」と「Cancel」
   を選べるようになっているので、「OK」を選べば良い。
     ただし、ここで注意しなければならないのは、USB メモリのディスク形式である。KNOPPIX 
   インストールの際には、USB メモリは FAT32 でフォーマットされる。ところが、FAT32 では、
   4 GB を越えるファイルを扱うことができない。従って、大容量 USB メモリ(例えば 16 GB とか)に 
   KNOPPIX 6.4.4 をインストールして、USB メモリとしては 10GB 以上の空き容量があったとしても、この
   全てを保存用のディスクイメージに割り当てることはできないのだ。
     さて、4 GB 以内で保存用ディスクイメージの容量を入力し、「OK」を選ぶと、

         "Creating space for data, this can take a very long time ....."

   つまり、

         「データ用のスペースを作っており、これにはえらく長い時間がかかりますよ」

   というメッセージが出て、保存用ディスクイメージのファイルが USB メモリ内に作成される。メッセージ
   通り、そこそこ時間がかかる。なお、4 GB 以上の容量を指定しても、"too large"という警告がさらりと
   出るだけで、確かに指定したサイズのファイルが出来る。しかし、このファイルを使って、データを保存
   したり、中断した作業の続きを行うことは、全く出来ないのである。くれぐれも注意されたい。
  
     一度、保存用ディスクイメージのファイルが作られると、以後、この USB メモリから KNOPPIX をブート
   する度に、自動的にこのディスクイメージからデータが読み出され、前回シャットダウンした所から、作業
   を再開することができる。
     なお、ディスクイメージは、

         /mnt-system/KNOPPIX/knoppix-data.img

   に置かれているようだ。従って、この knoppix-data.img を別の場所にコピーしておけば、USB メモリから
   のブートシステムをバックアップしたことと同じになるのだろう。ただ、今の所、別の場所にコピーしてお
   いた knoppix-data.img を別の KNOPPIX 6.4.4 ブート の USB メモリ上に置いた場合、きちんとディスク
   イメージを読み出してくれるか否かは、まだ試していない。


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Created: Tue Jan 04 17:55 JST 2011
Last modified: Sat Jan 23 13:45 JST 2021