「アウトリーチ」とは正しくは「パブリック・アウトリーチ(Public Outreach)といい『大学や研究所のような専門研究機関が行う、一般向けの教育普及啓蒙活動』といった意味で使用される言葉です。日本ではここ数年の間に急速に拡がった言葉ではありますが、アメリカNASAのホームページなどには「Outreach」という教育普及啓蒙用のページが用意されているほどグローバル・スタンダードな言葉です。
本ページでは東京学芸大学天文学研究室で行なってきたアウトリーチ活動をここで紹介します。なお、本ページでは、教員研修など一般にはアウトリーチ活動に含めない貢献活動も併せて紹介しております。
- 定例観望会:毎年10月末から11月初めにかけて、本学では小金井祭が開催されます。本研究室ではこの時に、天文クイズラリーと観望会を行っています。本学の自然科学系研究棟1号館1階から屋上の望遠鏡ドームまでがクイズラリーのルートになっており、ルート途中に掲示された十数問のクイズに答えて頂きます。屋上では正答率によってちょっとしたご褒美がもらえます。また同時に屋上の40cm反射望遠鏡の見学と8cm屈折望遠鏡による太陽観測を体験できます。時期や天候によっては、40cm望遠鏡で昼間の金星を御覧になれます。また夕方には月や惑星を御覧になれます。下の写真は2007年11月3日の小金井祭期間中の昼間の観望会の様子です。天文学研究室の学生諸君も積極的に参加して、準備・解説・片付けなどを行ってくれました、本当にありがとう。
- 不定期観望会:小金井祭期間外であっても、特別な天文現象や適当な時期に併せて、不定期な観望会を開催しています。最近では2006年5月3日に本学屋上の40cm反射望遠鏡と8cm屈折望遠鏡、25cmシュミットカセグレン望遠鏡を用いて"土星の環を見る会"を行いました。下の写真は、その時に25cmシュミットカセグレン望遠鏡の接眼部にデジタルカメラで接写したものです。左が土星、右が木星です。土星の環と木星の衛星をしっかりと捉えています(木星の衛星は少し見づらいですが...)。
また2006年11月9日の早朝には、水星の太陽面通過が起こりました。この時には本学附属小学校で8cm/6cm屈折望遠鏡を用いた観望会を実施しました。いずれも本研究室の大学院生・学部生諸君の積極的な参加によって大好評でした。左下は投影板に映った太陽表面を通過する水星(大きな明るい円が太陽、見えにくいですがその下端の黒い粒が水星です)、右下は明け方の月を望遠鏡で観るために行列をつくる子供たちです。 2009年7月22日には全国的に日食が見られました。今回は奄美大島やトカラ列島などでは皆既日食が観察できるとのことで、マスコミも数ヶ月前から大きく取り上げていました。東京でも7割ほど欠けた太陽が見られる予定で、本教室では大学院生が中心となって日食観望会の準備が行われました。しかし当日の東京は朝から雨、日食の最中も曇天でした。研究室には多くの質問電話があり『おそらく日食は見られない』と伝えましたが、それでも観望会開始時刻になると多くの方がいらっしゃいました。特に夏休み第1週目ということもあり、幼児・小学生を伴った御家族が非常に多く、最終的にはなんと200名近い来学者がありました。そして曇天の中、本学の40cm望遠鏡見学や8cm望遠鏡による遠方景色の観察などを行いましたが、11時30分頃、ほんの数分だけ雲が薄くなり、空に大きく欠けた太陽が現れました。欠けた太陽が見られたのは、結局この一瞬でしたが、それでも多くの方が満足して岐路につかれたようです。下に観望会風景と、本研究室の学部生が自前のデジタルカメラで撮影した雲間に一瞬だけ見えた欠けた太陽を掲示いたします。 この日食観望会用に、太陽観察用メガネやピンホールカメラ式の太陽観察スコープ、などなど多くの太陽観察用具を製作・準備されていましたが、これらはきっと次の機会に役に立つことでしょう。院生・学生のみなさん、ありがとう、お疲れ様でした。
- 公開講演会:不定期ではありますが、機会があれば研究室向けの談話会を、公開講演会として一般の方々にも開放しております。最近では2006年11月3日に"冥王星が教えてくれた新しい太陽系の姿"のタイトルで縣秀彦氏(国立天文台・天文情報センター)、加藤明良氏(市立大宮西中学校)、五島正光氏(巣鴨中学高等学校)の公開講演会を開催いたしました。下の写真はその時の様子を撮影したものです。
- 公開講座:東京学芸大学教育学部理科教室では毎年一般および現職教員を対象とした公開講座を開催しています。2007年度の公開講座は宇宙地球科学分野の主導のもと開催されました。宇宙地球科学分野の一翼を担う天文学研究室もこれに参加。天文学の基礎と小型望遠鏡による天体観望のノウハウをレクチャーしました。下はその講義および天体観望実践の一風景です。天体観望では昼間の月の観察を行いました。
- その他:上記の他に理科教室で行われた「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(=SPP)教員研修」や「青少年のための『科学の祭典』」への参加や一般見学者への対応も行っています。2007年2月11日と2007年9月9日の『科学の祭典』では、天文学研究室の25cmシュミットカセグレン望遠鏡と8cm屈折望遠鏡を持ち込み、望遠鏡の構造やどれだけ遠くにある小さなものが拡大されて見えるかを体験してもらいました。また100円ショップで簡単に用意できるメガネと虫眼鏡で望遠鏡の原理を体験してもらいました。
また2007年11月08日(木)には八丈高校のみなさんが本学の見学にいらっしゃいました。40cm望遠鏡ドームの見学と、8cm屈折望遠鏡による太陽観望を体験して頂きました。
他にも各種プロジェクトに関連して、現役教員に対する研修や理科支援員希望者(本学学部生)に対する理科実験研修なども実施しています。『天文学』とは無関係なテーマによる研修も担当しておりますが、これは大人の事情というやつです(笑)。
- 2010.07.10(Thu):
島根県立松江北高等学校の東大・筑波大研修@東京大学本郷キャンパスにて、出前実験実習『膨張宇宙論』および『光でみる生体高分子』を実施、主催はNPO法人サイエンス・ステーション(西浦)。- 2009.11.01(Sun)-03(Tue):
定例観望会+天文クイズラリー(大学院生、学部生)。- 2009.07.22(Wed):
不定期観望会『日食を見る会~東京だって、7割ちょっと欠けるモン。』(土橋、西浦)。広報用ポスター。- 2008.11.01(Sat)-03(Mon):
定例観望会+天文クイズラリー(大学院生、学部生)。- 2008.09.27(Sat):
理科支援PJ:現役教員研修のうち『「天気の理科」と「天気の変化を調べよう」』を分担(西浦)。広報用ポスター。- 2008.07.10(Thu):
茨城県立水海道第一高等学校、大学見学(土橋)。- 2007.12.26(Wed):
理科支援PJ:現役教員研修のうち『エネルギーと天気の科学』を分担(西浦)。- 2007.11.08(Thu):
八丈高校、大学見学(水野、西浦)。- 2007.11.03(Sat)-04(Sun):
定例観望会+天文クイズラリー(水野、西浦、大学院生、学部生)。- 2007.09.30(Sun):
理科支援PJ:理科支援員希望者研修のうち『天気・台風』を分担(西浦)。- 2007.09.16(Sun):
理科支援PJ:理科支援員希望者研修のうち『天気・台風』を分担(西浦)。- 2007.09.09(Sun):
『2007青少年のための「科学の祭典」東京大会in小金井(東京学芸大学)』に「天体望遠鏡をのぞいてみようII」を出展(西浦)。広報用ポスター。- 2007.08.20(Mon)-22(Wed):
公開講座『宇宙と地球を体験する観察・実習』(水野、土橋、西浦)。広報用ポスター。- 2007.02.11(Sun):
『2007青少年のための「科学の祭典」東京大会in小金井(小金井工業高校)』に「天体望遠鏡をのぞいてみよう」を出展(西浦)。広報用ポスター。- 2006.11.09(Thu):
不定期観望会。東京学芸大学附属小学校、水星の太陽表面通過(大学院生、学部生)。- 2006.11.04(Sat)-05(Sun):
定例観望会『太陽と月と星を見る会』+天文クイズラリー(水野、西浦、大学院生、学部生)。広報用ポスター。- 2006.11.03(Fri):
公開講演会『冥王星が教えてくれた新しい太陽系の姿』(水野、西浦)。広報用ポスター。- 2006.07.25(Tue)-26(Wed):
SPP教員研修『理科嫌いをなくし理科をおもしろくする実験・観察授業の創造』の「宇宙と地震の実験・観察」を分担(西浦)。- 2006.05.03(Sat)-06(Sun):
不定期観望会『土星の環を見る会』(水野、土橋、西浦)。広報用ポスター。- 2005.11.05(Sat)-06(Sun):
定例観望会+天文クイズラリー(水野、西浦、大学院生、学部生)。- 2004.10.30(Sat)-31(Sun):
定例観望会+天文クイズラリー(水野、大学院生、学部生)。- 2003.11.03(Sat)-04(Sun):
定例観望会+天文クイズラリー(水野、大学院生、学部生)。
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