星間物質(interstellar matter)

 星と星との間は真空ではなく,いろいろな物質が存在する.このような星と星との間のことを星間(interstellar)とよび,その間の物質のことを星間物質とよんでいる.星間物質のうち星の光の散乱,吸収,赤化によって宇宙塵(ダスト;固体微粒子)が広く分布していることがわかる.


もっと詳しい説明

 固体以外の気体成分は原子,イオン分子の固有スペクトルによって知ることができる.星間にある気体は観測したスペクトルにあらわれる吸収線で認識される.現在,ロケットや人工衛星によって紫外線やX線の波長域にまで星間吸収の観測がひろがり,ほとんどの原子とイオン,それに様々な星間分子が見つかっている
 吸収線は1本に見えるものでも,よく見ると1本ではなくいくつかの成分に分かれている.これは速度の異なる雲が星と我々の間にいくつかあって,ドップラー効果とよばれる現象によって少しずつ異なる吸収を示しているからである.また,気体の種類によって気体の動く速度が異なる.それらの研究によって,極低温(数十K)から超高温(100万K)まで種々の物質の状態が明らかになった.
 星間吸収だけでなく,電波は星間のうち密度の高い領域(暗黒星雲,分子雲など)を直接観測できる有効な手段である.
 もともと星間物質という言葉は星を中心とした考え方から出てきたものである.現在では,星以上に多種多様な階層が星間に存在することがわかってきた.


引用文献

・鈴木博子(1983):星間物質.高倉達雄 監修(1983):現代天文学小事典,講談社