ハービック・ハロー天体(Herbig-Haro object)

 この天体は,ハービックとハローによって1981年と1952年に別々に発見された天体である.ハービック.ハロー天体という名称もかれらの名前に由来する.現在までにこのような天体は1000個以上見つかっており生まれたばかりの星である原始星が引き起こす天体の一つであると考えられている


もっと詳しい説明

 ハービック・ハロー天体は,すべての暗黒星雲の周縁部に見つかっている.その形状を写真でみるとふつうの星のような「点」ではなく,ぼーっと拡がった「星雲状」のものが数個に分裂している.そして,その個々の形状や光の強さは,ほぼ1年間の時間のスケールで変動している.
 星の進化の観点でハービック・ハロー天体をみてみよう.HR図の上では主系列の線上にはなく,約10倍ほど高い光度をもつ.進化の理論的計算では,年齢は10万年程度の若い天体といえる.おうし座T型星(100万年前後の年齢)の直前の天体だろうと考えられている.つまり,中心には生まれて間もない星が厚いガスと宇宙塵(ダスト;固体微粒子)の雲に包まれてあり,そこから発した光の大部分は吸収されるが,一部分は塵の雲の隙間を通して漏れ出して見える.吸収された光は微粒子の雲を熱して,赤外線として見える.中心星にはまだ誕生の時の激しい対流が残っており,大気中に衝撃波を起こして強い輝線を発生させ,また,ジェットを吹き出し,周りのガスと衝突する.こうして励起された雲が光っているのが,ハービック・ハロー天体と考えられている


引用文献

・佐藤修二(1983):ハービック・ハロー天体.高倉達雄 監修(1983):現代天文学小事典,講談社