0. 経緯:
KNOPPIX(クノーピクス)5.3.1 DVD-ROM版 のイメージをここからダウンロードして、
DVD-R に焼き込み、ノートPC上で起動。同じバージョンの CD-ROM 版では容量の関係で、
インストールされていなかった様々なアプリケーションも、既にインストールされている
ことを確認できた。
そこで、これを USB メモリから起動できるようにした。さらに、同じ USB メモリ上に、
空き容量を確保し、そこに KNOPPIX のディスクイメージを作成することで、追加インス
トールしたアプリケーションや、作業内容を保持できるようにした。
これら一連の作業の詳細はこちらを参照されたい。
続いて、この USB メモリから起動する KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)に、PC-IRAF を導入
することにした。これに成功すれば、これと同じような KNOPPIX 5.3.1 起動用の USB メモリ
を量産することで、画像解析実習やプログラミング実習などで複数の Linux マシンを調整する
作業から逃避できる(既にこの段階でプログラミング実習への投入は可能)。
----- I. PC-IRAF 導入のための下準備 -----
1.1 csh のインストール(KNOPPIX 5.3.1 CD-ROM 版の場合)
参考までに KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)のデフォルト状態では csh はインストールされて
いない。X11IRAF や PC-IRAF のインストールには csh のスクリプトが使われているので、
CD-ROM 版を USB メモリにインストールした場合には、csh を別途インストールしなければ
ならない。
詳細はこちらのメモを参照のこと。
KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)の場合は、この作業はスキップすること。
1.2 SAOImage DS9 の入手とインストール
PC-IRAF のインストール後でもいいのだが、先に fits画像ビューアである SAOImage DS9 を
インストールした。SAOImage DS9 のホームページにアクセスし、最新バージョン 6.2 の
Linux 用バイナリを入手。きっと、Debian 上で動くだろう、多分。
以下の作業を実行した。
1) 「tar -zxvf ds9.linux.6.2.tar.gz」で解凍すると実行ファイル「ds9」が一つだけ
出て来る。
2) これを root 権限で /usr/local/bin あたりに移動して完了。
試しに適当なターミナルから「ds9 &」と入力したところ、直ぐにSAOImageDS9が起動した。
ほら、大丈夫だった。
1.3 X11IRAF の入手とインストール
X11IRAF のバイナリを、IRAF ホームページ中のここから入手した。β版ながら version
2.0が出ているようなので、linux 用と銘打たれた x11iraf-v2.0BETA-bin.linux.tar.gz
をダウンロード。ファイル名から推察するに、Debian 用にはこれで大丈夫だろう(根拠less)。
1) アーカイブ・ファイルを展開する際、全てのファイルがカレントディレクトリに展開
されてしまい、訳が分からなくなると嫌なので、予めファイル展開用にテンポラルな
ディレクトリを作成し、ダウンロードしたファイルをその中に置く。
2) 「Root Shell」から「tar -zxvf x11iraf-v2.0BETA-bin.linux.tar.gz」で展開。
3) 「./install」でインストール・スクリプトが起動。インストール先のディレクトリに
ついて何度か質問して来るが、特に指定がなければ、リターンキーを押して行くだけで
終了。最後に「Installation complete.」と出ればインストールは成功。
4) 左下のスタート(?)アイコンから「システム」-->「Konsole-ターミナルプログラム」
で knoppix アカウントで端末を開き、「xgterm &」と入力して、xgterm の起動を確認
した。
xgterm が立ち上がれば、無事 X11IRAF がインストールされたと思って、問題無いだろう。
1.4 IRAF 用アカウントの作成
従来の PC-IRAF のインストール方法に則って、KNOPPIX 5.3.1 でも iraf アカウントを
作成し、このアカウントでインストール作業を行うことにする。
1) /etc/passwd からユーザー番号をチェック、1002あたりにしておく。
2) 「Root Shell」から「adduser -u 1002 --home /home/iraf --shell iraf」と入力、パス
ワード設定が必要となるが、適当なパスワードを設定。どうせ、インストール終了後に、
iraf アカウントを使うことは無いだろう。さらにこの後、フルネーム、部屋番号、職場
電話番号、自宅電話番号、その他(何の為に、それとも Debian の世界ではこれが普通?!)
といろいろ訊かれるが、ここには何も入力せず、リターンキーを押すのみ。それでも問題
は無いはず。
一応、/home/iraf のパーミッションを確認。iraf 以外からの読み込みと実行は可能に
なっているので、多分、大丈夫だろう。
----- II. PC-IRAF の入手とインストール -----
2.1 PC-IRAFの入手
IRAF ページを訪ねた所、version 2.15 がリリースされていた。必要なファイルは、以下の通りで、
ファイル名は、基本的には今までのバージョンと変わらない。
as.pcix.gen.gz
ib.lnux.x86.gz
nb.lnux.x86.gz
pciraf.ps.gz
これらは、ここからダウンロード可能である。
どれが Debian でも動作するものなのか少し迷ったが、消去法から、ファイル名に「lnux」
とあるもので良いだろうと判断した(やはり根拠less)。
なお、インストールの詳細は、上記の「pciraf.ps.gz」を解凍すれば、postscript 版のイン
ストール・マニュアルが出て来るので、これを gv などで閲覧すれば良い。
2.2 PC-IRAF のインストール
まずは iraf のアカウントで、
1) 「mkdir /home/iraf/iraf」として、PC-IRAF のインストール先を作成
2) 続いて「cd /home/iraf/iraf」で移動。
3) ここで「cat /適当なパス/as.pcix.gen.gz | zcat | tar -xpf -」。数100MB にもなる
大量のファイルを USB メモリに書き込むためか、普通に HDD に展開する時間に比べて、
時間がかかった気がする。
4) 「cd /home/iraf/iraf/bin.linux」で移動。
5) ここで「cat /適当なパス/ib.lnux.x86.gz | zcat | tar -xpf -」。こちらはすぐ終わる。
6) 「cd /home/iraf/iraf/noao/bin.linux」で移動。
7) ここで「cat /適当なパス/nb.lnux.x86.gz | zcat | tar -xpf -」。こちらもすぐ終わる。
これで、適当なディレクトリへのファイルの展開は終了。
続いて、本格的なインストール作業。
8) 引き続き iraf のアカウントで、「csh」として csh を起動。インストール・スクリプトが
csh で書かれているので、仕方ありません。
9) 「setenv iraf /home/iraf/iraf」として、環境変数 iraf に iraf のインストール先を設定。
10) 「cd $iraf/unix/hlib」で移動。
11) 「source irafuser.csh」を入力。
12) 「./install -n」として「-n」オプションをつけることで、実際にインストールする前に、
各種確認(主にディレクトリ構造とパーミションのチェック?)を行う。質問には、適当に
ディレクトリを指定したり「y」や「n」と答えれば良い。最終的に「エラー無しで終わったよ」
という意味のメッセージが出ればほぼインストールが可能であることが確認されたことになる。
13) 改めて root アカウントになり、csh を起動。続けて以下の作業を行う。
14)「setenv iraf /home/iraf/iraf」
15)「cd $iraf/unix/hlib」
16)「source irafuser.csh」
17)「./install」。質問への回答は、先程 iraf アカウントでの回答に合わせること。最終的に
「エラー無しで終わったよ」という意味のメッセージが出れば、インストール完了。
2.3 PC-IRAF の初期設定
KNOPPIX の特質上、PC-IRAF を使用するのは、knoppix アカウントからになるだろう。そこで、
knoppix アカウントで立ち上げた適当なターミナルから「mkiraf」と入力。
IRAF の初期設定が開始される。X11IRAF をインストールしているのだから、ターミナルは
「xgterm」を選ぶこと。完了すると、mkiraf を走らせたディレクトリに login.cl というファイル
が出力され、uparm というディレクトリが作成される。これはユーザー用の IRAF の設定ファイル
と、パラメータファイルの置き場所であるから、むやみに消さないように注意すること。
老婆心で言うと、この「mkiraf」はインストール直後で最初にIRAFを起動させる前の、本当に
最初の最初に一回行うだけでよい。ちなみに2回目以降の mkiraf によって、login.cl や uparam
を初期化することができる。
2.4 PC-IRAF の起動
knoppix のアカウントで、xgterm を起動。xgterm で login.cl があるディレクトリから「cl」
と入力。無事、IRAF が起動した。
さらに IRAF へ「cl > !ds9 &」として DS9 を起動。少し立ち上がりが遅い気がしたが、問題
無く、DS9 が起動。
IRAF から「cl > display dev$pix 1」として、テスト画像の M51 を DS9 に表示。成功。
続けて「cl > imexam」として「a」コマンドを試す。天体の位置や FLUX、FWHM などが表示
された。さらに「r」コマンドを試した所、別の window が開いて、天体の輝度プロファイル
が表示された。成功。
これで、無事 KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)で PC-IRAF が起動することを確認できた。