(2011年01月27日 作成)

KNOPPIX5.3.1(USBメモリ起動)にPC-IRAFをインストール



0. 経緯:

     KNOPPIX(クノーピクス)5.3.1 DVD-ROM版 のイメージをここからダウンロードして、
   DVD-R に焼き込み、ノートPC上で起動。同じバージョンの CD-ROM 版では容量の関係で、
   インストールされていなかった様々なアプリケーションも、既にインストールされている
   ことを確認できた。
     そこで、これを USB メモリから起動できるようにした。さらに、同じ USB メモリ上に、
   空き容量を確保し、そこに KNOPPIX のディスクイメージを作成することで、追加インス
   トールしたアプリケーションや、作業内容を保持できるようにした。
     これら一連の作業の詳細はこちらを参照されたい。
     
     続いて、この USB メモリから起動する KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)に、PC-IRAF を導入
   することにした。これに成功すれば、これと同じような KNOPPIX 5.3.1 起動用の USB メモリ
   を量産することで、画像解析実習やプログラミング実習などで複数の Linux マシンを調整する
   作業から逃避できる(既にこの段階でプログラミング実習への投入は可能)。


----- I. PC-IRAF 導入のための下準備 -----

1.1  csh のインストール(KNOPPIX 5.3.1 CD-ROM 版の場合)
     参考までに KNOPPIX 5.3.1(CD-ROM版)のデフォルト状態では csh はインストールされて
   いない。X11IRAF や PC-IRAF のインストールには csh のスクリプトが使われているので、
   CD-ROM 版を USB メモリにインストールした場合には、csh を別途インストールしなければ
   ならない。
     詳細はこちらのメモを参照のこと。
     KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)の場合は、この作業はスキップすること。

1.2  SAOImage DS9 の入手とインストール

     PC-IRAF のインストール後でもいいのだが、先に fits画像ビューアである SAOImage DS9 を
   インストールした。SAOImage DS9 のホームページにアクセスし、最新バージョン 6.2 の
   Linux 用バイナリを入手。きっと、Debian 上で動くだろう、多分。
     以下の作業を実行した。
    1) 「tar -zxvf ds9.linux.6.2.tar.gz」で解凍すると実行ファイル「ds9」が一つだけ
       出て来る。
    2) これを root 権限で /usr/local/bin あたりに移動して完了。
   試しに適当なターミナルから「ds9 &」と入力したところ、直ぐにSAOImageDS9が起動した。
   ほら、大丈夫だった。

1.3  X11IRAF の入手とインストール

     X11IRAF のバイナリを、IRAF ホームページ中のここから入手した。β版ながら version 
   2.0が出ているようなので、linux 用と銘打たれた x11iraf-v2.0BETA-bin.linux.tar.gz 
   をダウンロード。ファイル名から推察するに、Debian 用にはこれで大丈夫だろう(根拠less)。
     1) アーカイブ・ファイルを展開する際、全てのファイルがカレントディレクトリに展開
        されてしまい、訳が分からなくなると嫌なので、予めファイル展開用にテンポラルな
        ディレクトリを作成し、ダウンロードしたファイルをその中に置く。
     2) 「Root Shell」から「tar -zxvf x11iraf-v2.0BETA-bin.linux.tar.gz」で展開。
     3) 「./install」でインストール・スクリプトが起動。インストール先のディレクトリに
        ついて何度か質問して来るが、特に指定がなければ、リターンキーを押して行くだけで
        終了。最後に「Installation complete.」と出ればインストールは成功。
     4) 左下のスタート(?)アイコンから「システム」-->「Konsole-ターミナルプログラム」
        で knoppix アカウントで端末を開き、「xgterm &」と入力して、xgterm の起動を確認
        した。
   xgterm が立ち上がれば、無事 X11IRAF がインストールされたと思って、問題無いだろう。

1.4  IRAF 用アカウントの作成

     従来の PC-IRAF のインストール方法に則って、KNOPPIX 5.3.1 でも iraf アカウントを
   作成し、このアカウントでインストール作業を行うことにする。
     1) /etc/passwd からユーザー番号をチェック、1002あたりにしておく。
     2) 「Root Shell」から「adduser -u 1002 --home /home/iraf --shell iraf」と入力、パス
        ワード設定が必要となるが、適当なパスワードを設定。どうせ、インストール終了後に、
        iraf アカウントを使うことは無いだろう。さらにこの後、フルネーム、部屋番号、職場
        電話番号、自宅電話番号、その他(何の為に、それとも Debian の世界ではこれが普通?!)
        といろいろ訊かれるが、ここには何も入力せず、リターンキーを押すのみ。それでも問題
        は無いはず。

     一応、/home/iraf のパーミッションを確認。iraf 以外からの読み込みと実行は可能に
   なっているので、多分、大丈夫だろう。


----- II. PC-IRAF の入手とインストール -----

2.1  PC-IRAFの入手

     IRAF ページを訪ねた所、version 2.15 がリリースされていた。必要なファイルは、以下の通りで、
   ファイル名は、基本的には今までのバージョンと変わらない。

         as.pcix.gen.gz
         ib.lnux.x86.gz
         nb.lnux.x86.gz
         pciraf.ps.gz

   これらは、ここからダウンロード可能である。
     どれが Debian でも動作するものなのか少し迷ったが、消去法から、ファイル名に「lnux」
   とあるもので良いだろうと判断した(やはり根拠less)。
     なお、インストールの詳細は、上記の「pciraf.ps.gz」を解凍すれば、postscript 版のイン
   ストール・マニュアルが出て来るので、これを gv などで閲覧すれば良い。

2.2  PC-IRAF のインストール

     まずは iraf のアカウントで、
     1) 「mkdir /home/iraf/iraf」として、PC-IRAF のインストール先を作成
     2) 続いて「cd /home/iraf/iraf」で移動。
     3) ここで「cat /適当なパス/as.pcix.gen.gz | zcat | tar -xpf -」。数100MB にもなる
        大量のファイルを USB メモリに書き込むためか、普通に HDD に展開する時間に比べて、
        時間がかかった気がする。
     4) 「cd /home/iraf/iraf/bin.linux」で移動。
     5) ここで「cat /適当なパス/ib.lnux.x86.gz | zcat | tar -xpf -」。こちらはすぐ終わる。
     6) 「cd /home/iraf/iraf/noao/bin.linux」で移動。
     7) ここで「cat /適当なパス/nb.lnux.x86.gz | zcat | tar -xpf -」。こちらもすぐ終わる。
     これで、適当なディレクトリへのファイルの展開は終了。
     続いて、本格的なインストール作業。
     8) 引き続き iraf のアカウントで、「csh」として csh を起動。インストール・スクリプトが
      csh で書かれているので、仕方ありません。
     9) 「setenv iraf /home/iraf/iraf」として、環境変数 iraf に iraf のインストール先を設定。
     10) 「cd $iraf/unix/hlib」で移動。
     11) 「source irafuser.csh」を入力。
     12) 「./install -n」として「-n」オプションをつけることで、実際にインストールする前に、
        各種確認(主にディレクトリ構造とパーミションのチェック?)を行う。質問には、適当に
        ディレクトリを指定したり「y」や「n」と答えれば良い。最終的に「エラー無しで終わったよ」
        という意味のメッセージが出ればほぼインストールが可能であることが確認されたことになる。
     13) 改めて root アカウントになり、csh を起動。続けて以下の作業を行う。
     14)「setenv iraf /home/iraf/iraf」
     15)「cd $iraf/unix/hlib」
     16)「source irafuser.csh」
     17)「./install」。質問への回答は、先程 iraf アカウントでの回答に合わせること。最終的に
        「エラー無しで終わったよ」という意味のメッセージが出れば、インストール完了。

2.3  PC-IRAF の初期設定

        KNOPPIX の特質上、PC-IRAF を使用するのは、knoppix アカウントからになるだろう。そこで、
      knoppix アカウントで立ち上げた適当なターミナルから「mkiraf」と入力。
        IRAF の初期設定が開始される。X11IRAF をインストールしているのだから、ターミナルは
     「xgterm」を選ぶこと。完了すると、mkiraf を走らせたディレクトリに login.cl というファイル
      が出力され、uparm というディレクトリが作成される。これはユーザー用の IRAF の設定ファイル
      と、パラメータファイルの置き場所であるから、むやみに消さないように注意すること。
        老婆心で言うと、この「mkiraf」はインストール直後で最初にIRAFを起動させる前の、本当に
      最初の最初に一回行うだけでよい。ちなみに2回目以降の mkiraf によって、login.cl や uparam
      を初期化することができる。

2.4  PC-IRAF の起動

        knoppix のアカウントで、xgterm を起動。xgterm で login.cl があるディレクトリから「cl」
      と入力。無事、IRAF が起動した。
        さらに IRAF へ「cl > !ds9 &」として DS9 を起動。少し立ち上がりが遅い気がしたが、問題
      無く、DS9 が起動。
        IRAF から「cl > display dev$pix 1」として、テスト画像の M51 を DS9 に表示。成功。
        続けて「cl > imexam」として「a」コマンドを試す。天体の位置や FLUX、FWHM などが表示
      された。さらに「r」コマンドを試した所、別の window が開いて、天体の輝度プロファイル
      が表示された。成功。
        これで、無事 KNOPPIX 5.3.1(DVD-ROM版)で PC-IRAF が起動することを確認できた。


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Created: Wed Jan 26 16:52 JST 2011
Last modified: Sat Jan 23 13:25 JST 2021